天宮1号

天宮1号

概要

天宮1号は、中国が初めて打ち上げた宇宙実験モジュールであり、宇宙ステーション建設に向けた重要なステップでした。2011年9月29日に打ち上げられ、中国初の無人ドッキングと有人ドッキングを成功させました。このモジュールは、実験装置室と物資保管室から構成され、ドッキングポートを一つ備えていました。天宮1号の主な目的は、宇宙空間でのドッキング技術を習得し、将来の宇宙ステーション設立のための基礎を築くことでした。

天宮1号の打ち上げ後、中国は神舟8号、神舟9号、神舟10号の宇宙船を相次いで打ち上げ、ドッキング試験を実施しました。神舟8号は無人ドッキングを、神舟9号と神舟10号は有人ドッキングを行い、宇宙飛行士が天宮1号に滞在しました。これらのミッションを通じて、中国は宇宙空間におけるドッキング技術を確実に習得しました。

また、天宮1号には国際宇宙航行連盟(IAF)から贈られた連盟旗が搭載されました。この連盟旗は、かつてロシアのソユーズ宇宙船で国際[[宇宙ステーション]]に運ばれ、アメリカのスペースシャトルで地球に持ち帰られたものでした。天宮1号による再度の宇宙への打ち上げは、当時運用中の全ての有人宇宙船に連盟旗が搭載されたことを意味しました。連盟旗は後に神舟9号で地球に持ち帰られ、IAF加盟国に授与されました。

天宮1号は、全てのミッション終了後も天宮2号の予備機として軌道上に留まり続けましたが、2016年3月に機能停止し、同年5月に中国政府によって機能喪失が国連に通知されました。2018年4月2日に大気圏に再突入し、大部分が燃え尽きたと考えられています。

厳密には、天宮1号は宇宙ステーションではなく、重量約8トンの宇宙実験室のひな形でしたが、有人ドッキングミッションのために一時的に宇宙飛行士が滞在したため、中国初の宇宙ステーションとも呼ばれています。

打上げと運用

天宮1号の打ち上げは、当初2011年8月中旬に予定されていましたが、ロケット打ち上げの失敗により延期されました。その後、原因が特定され、9月29日に酒泉衛星発射センターから長征2号FT1ロケットによって打ち上げられました。

打ち上げ後の11月3日には、無人の神舟8号宇宙船とのドッキングに成功しました。このドッキングは中国初の宇宙空間におけるドッキングであり、その様子はテレビ、インターネット、ラジオなどで国内外に中継されました。11月14日には、太陽光に照らされた場所での2回目のドッキングも成功させました。その後、神舟8号は分離され、有人宇宙船神舟9号とのドッキングに備えた長期管理段階に入りました。

2012年6月18日には、有人宇宙船神舟9号との自動ドッキングに成功し、中国は宇宙空間で有人宇宙船のドッキングを成功させた世界で3番目の国となりました。神舟9号に搭乗していた3名の宇宙飛行士は天宮1号に乗り移り、約10日間滞在しました。この滞在期間中、将来の長期滞在に備えた医学的調査などが行われました。また、6月24日には、非常事態に備えた手動ドッキングも成功させています。

2013年には、有人宇宙船神舟10号とのドッキングにも成功し、宇宙飛行士が一時滞在しました。神舟10号のミッションをもって天宮1号の全てのミッションが終了し、その後のミッションは天宮2号に引き継がれました。

地球への落下

天宮1号は、全てのミッションが終了した後も軌道上に留まり続けましたが、2016年9月に機能停止が発表されました。制御不能になった天宮1号は、高度を下げ、2018年4月2日に大気圏に再突入し、燃え尽きた破片が南太平洋上に落下しました。

中国政府は、機体の大部分は燃え尽きると主張していましたが、大きな塊が地上に到達する可能性も指摘され、騒動となりました。落下予測地点は広範囲に及んだため、地球上のどこにいつ落下するのか正確には不明な状況でした。しかし、破片が人体に危害を及ぼす可能性は極めて低いとされていました。

脚注

関連項目

天宮計画
中国の[[宇宙開発]]
宇宙ステーション
国際[[宇宙ステーション]]

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