天徳院 (金沢市)

天徳院

天徳院（てんとくいん）は、石川県金沢市小立野に位置する曹洞宗の寺院です。この寺院の山号は金龍山（きんりゅうざん）で、院号は前田利常の正室珠姫の法号に由来し、天徳院殿 乾運淳貞 大禅定尼と呼ばれています。

歴史的背景

天徳院は元和9年（1623年）に、加賀藩主前田利常によって創建されました。この寺院は前年に亡くなった珠姫の菩提を弔うために造られたもので、開山には巨山泉滴が迎えられました。その後、元禄6年（1693年）になると、黄檗宗の高泉性潡が伽藍の整備を手掛け、黄檗様式の建築で再配置しました。しかし、明和5年（1768年）に発生した火災により、山門や宝蔵を残し、主要な建物が焼失してしまいました。この火災の後、伽藍の再建作業は急ピッチで進められ、明和6年には前田重教によって本堂、講堂、庫裏の再興が行われました。

明治12年（1879年）には諸岳奕堂が住職に就任し、その後も大正4年（1915年）に森田悟由が住職に選ばれるなど、時代の流れの中で継承されてきました。また、大正12年（1923年）には関東大震災の避難者として室生犀星がこの寺で滞在するなど、歴史の一幕を担っています。

伽藍及び文化財

天徳院の主要な伽藍には、元禄6年に建立された二重門の山門があります。この山門の屋根は、当初は鉛瓦で覆われていましたが、経済的な理由から通常の瓦に変更されました。その他の文化財として、江戸時代に制作された木造の羅睺羅像や見返阿弥陀立像があり、また、1863年に制作された梵鐘も重要な遺産として残されています。

行事

天徳院では年間を通じていくつかの特別行事が行われています。1月1日には新年大祈祷会、3月15日には釈尊涅槃会が催され、4月には花まつりとして釈尊降誕会が行われます。また、6月1日には大布薩講式法要が開催され、8月9日には珠姫まつり法要が行われています。これらの行事は地域にとって重要な文化的なイベントとなっています。

アクセス

天徳院へのアクセスは、北陸自動車道金沢森本ICから山側環状道路を利用すると車で約15分で到着できます。また、JR北陸新幹線金沢駅から車で20分の距離です。公共交通を利用する場合は、金沢駅西口から北陸鉄道のバスが利用でき、「天徳院前」バス停下車で近接しています。

本寺院は歴史深いと共に、訪れる人々に多くの教訓と感動を与える場所です。ぜひ一度足を運んでみてください。

もう一度検索