高泉性潡

高泉性潡（こうせん しょうとん）とは

高泉性潡は、江戸時代前期に中国から渡来した臨済宗黄檗派（黄檗宗）の僧侶です。福建省福州府福清県東閣の出身で、俗姓は林氏、号を高泉、法諱を性潡と称しました。その生涯は、仏教の教えを広めるだけでなく、文化交流にも大きく貢献したことで知られています。

生涯

高泉性潡は、幼少期に両親を亡くし、叔父を頼って黄檗山で出家しました。その後、隠元隆琦の弟子である慧門如沛に師事し、黄檗山で修行を積みました。1654年、隠元が日本へ渡ると、高泉も1661年に来日し、長崎の崇福寺に入りました。

高泉は、来日後、萬福寺の発展に大きく貢献しました。1663年には、萬福寺初の授戒会で引請阿闍梨を務め、1665年には、奥羽二本松藩の甘露山法雲院の住持に招かれました。また、書や篆刻にも才能を発揮し、『妙法蓮華経』などの経典を血書したことでも知られています。

1673年に隠元が没すると、高泉は百日間棺側でその死を悼み、その後、1675年には加賀藩の献珠寺の開山となりました。さらに、1678年には、門弟が開創した伏見の仏国寺の開山にも就任しています。

1685年、高泉は龍渓性潜の門弟である晦翁に印可を与えましたが、この措置が「代付事件」と呼ばれる騒動を引き起こしました。この一件は、禅の嗣法の本旨に背くとされ、萬福寺の役僧たちの反対を受け、収束までには長い時間を要しました。しかし、1692年には、独湛性瑩の隠退に伴い、高泉が第5代の黄檗山住持に就任し、了翁道覚の寄進により、山内の堂塔が修築されました。1695年には、隠元の大光普照国師の国師号を公表し、紫衣を賜って江戸に上り、将軍徳川綱吉に拝礼しました。

高泉は、1695年10月16日に62歳で没しました。その際、後継者として千呆性侒を推薦し、幕府もこれを承認しました。

業績と影響

高泉性潡は、黄檗宗の発展に尽力しただけでなく、その学識と才能によって、日本の文化にも大きな影響を与えました。特に、書と篆刻の分野では、独自のスタイルを確立し、多くの人々に影響を与えました。また、その著書である『扶桑禅林僧宝伝』は、日本の禅宗史を研究する上で貴重な資料となっています。

著書

『扶桑禅林僧宝伝』10巻

参考文献

木村得玄『初期黄檗派の僧たち』春秋社、2007年。ISBN 9784393177051

関連項目

日本の[[篆刻史]]
日本の篆刻家一覧
* 篆刻

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