天満 (大阪市)

天満：歴史と文化が息づく大阪の街

概要

大阪府大阪市北区に位置する天満は、古くからの地名であり、現在も地域名として親しまれています。行政上は天満一丁目から天満四丁目に区分されています。淀川（大川）の曲流する北西側の地域を指し、周辺には東天満、紅梅町、天神橋など、歴史と文化を感じさせる町並みが広がっています。その地名は、当地に鎮座する大阪天満宮に由来し、日本三大祭の一つである天神祭をはじめ、数々の歴史的建造物やイベントと深く結びついています。

歴史

天満は、淀川の氾濫を免れる微高地である天満砂堆の南端に位置しており、古くから人が居住していたと推測されています。652年（白雉3年）には、難波長柄豊碕宮の鎮護社として大将軍社が創建され、のちに菅原道真公の崇敬によって大阪天満宮となりました。

豊臣秀吉による大坂城下の整備事業（1583年開始）とほぼ同時進行で、1585年（天正13年）には天満本願寺が建立されました。秀吉は天満を船運の拠点として整備することを企図しており、1598年（慶長3年）には天満堀川が開削されました。その後、天満は生魚商や塩干魚商などの商業活動も盛んになり、大坂の経済発展を支える重要な拠点となりました。

大坂の陣後の復興においては、北の防御線として天満寺町が形成され、天満堀川を境に天満東寺町・天満西寺町と呼ばれていました。大坂編入後も、上町や島之内を凌駕する商業と人口の集積が見られるようになり、天満組が成立。大坂の町人地は大坂三郷と呼ばれるようになりました。

1653年（承応2年）には、京橋片原町から天満の淀川沿岸に青物市場が移転し、「天満青物市場」が誕生しました。この市場は、大坂の青果取引を長年独占する官許市場として繁栄し、周囲には関連する商家が多数集まりました。天満堀川沿いには、造り酒屋や乾物問屋なども軒を連ねていました。

江戸時代後期には、商家に対する打ちこわしや大塩平八郎の乱による天満の全焼など、幾多の困難を経験しながらも、天満は常に復興を遂げてきました。明治時代以降は、造幣局の設置を契機に、金属工場やガラス工場などが集積し、特にガラス産業においては東京と並ぶ一大産地として発展しました。また、大阪天満宮周辺は劇場や寄席が並ぶ繁華街となり、活気に満ちた街として発展を続けました。

しかし、天満青物市場の集約（1931年）、大阪大空襲（1945年）、戦後の経済情勢の変化、オフィス化、地上げなどの影響により、劇場街は消滅し、町家の多くも取り壊されました。1968年（昭和43年）には天満堀川が埋め立てられ、1978年（昭和53年）には町名改編が行われ、多くの町名が姿を消しました。

現代の天満

現在では、小規模なオフィスや工場の他、大阪地方裁判所・大阪高等裁判所があることから弁護士事務所などの法曹関係者の集積も見られます。また、日本一長い商店街と称される天神橋筋商店街も有名です。梅田周辺へのオフィス集中の流れの中で、天満はオフィス開発が進んでいない一方、都心回帰の波を受けて超高層マンションが建設され、人口が増加傾向にあります。近年の再開発においては、残る町家の活用や伝統文化の継承にも配慮した取り組みが行われています。2006年には、戦後初の上方落語の定席「天満天神繁昌亭」が開設されました。

交通

天満地区内に鉄道駅はありませんが、近接駅としてJR大阪環状線「天満駅」、JR東西線「大阪天満宮駅」、Osaka Metro谷町線・堺筋線「南森町駅」などがあります。

まとめ

天満は、歴史と文化、そして現代の活気が共存する、大阪を代表する地域の一つです。古くからの町並みと近代的な建築物が混在する独特の景観、活気ある商店街、そして歴史的建造物やイベントは、多くの人々を魅了し続けています。今後の発展においても、歴史と文化を大切にしつつ、現代社会に適応した街づくりが期待されます。

もう一度検索