天皇海山群

天皇海山群：太平洋に眠る海底山脈

天皇海山群は、北太平洋の西側に位置する広大な海山群であり、その連なりは地球のダイナミズムを物語る貴重な証拠です。ここでは、その概要、名称の由来、形成過程、主要な海山の情報を詳しく解説します。

名称の由来

1954年、アメリカの海洋学者ロバート・シンクレア・ディーツによって、この海山群の個々の海山に日本の天皇の名前が付けられました。この命名により、海山群全体が「天皇海山群」と名付けられました。ただし、海山の並び順と天皇の即位順は必ずしも一致しているわけではありません。また、すべての海山に歴代天皇の名前が付けられているわけでもありません。

概要と形成

天皇海山群は、北はカムチャツカ半島の根元から、南はハワイ海山群へと連なっています。これらの海山は火山岩で構成されており、北に位置する海山ほど古い年代に形成されたことがわかっています。

その形成過程は、ホットスポットと呼ばれる場所で生まれた海底火山に遡ります。現在のハワイの位置で誕生した島々が、太平洋プレートの移動に伴い沈降し、海山群を形成しました。かつてプレートが北へ移動していた時期には、南北に海山群が形成されましたが、約4000万年前からプレートの移動方向が西に変化したため、東西に海山群が形成されるようになりました。

4000万年より前に形成された北北西-南南東に連なる海山群を天皇海山群、4000万年以降に形成された西北西-東南東に続く海山群をハワイ海嶺と呼び、これらを合わせてハワイ-天皇海山列と総称します。

興味深いことに、ツアモツ諸島やオーストラル諸島にも、ハワイ-天皇海山列と同様の「く」の字型の海山群が見られます。この形状は「ドッグ=レッグ・ベンド」と呼ばれることがあります。

近年、ホットスポット自体が移動するという研究も発表されており、従来の海洋底拡大説やプレート移動方向の変化説が見直されつつあります。

主な海山

以下に、天皇海山群を構成する主な海山とその形成時期を示します。

クレ環礁（約3300万年前）
ハンコック海山（約3300万年前）
コラハン海山（約3900万年前）
アボット海山（約4200万年前）
桓武海山（約4300万年前）
大覚寺海山（約4200万年前）
雄略海山（約4300万年前）
欽明海山（約4400万年前）
光孝海山（約4800万年前）
応神海山（約5500万年前）
神功海山（約5500万年前）
仁徳海山（約5600万年前）
用明海山（約5800万年前）
推古海山（約6500万年前）
デトロイト海山（約8100万年前）
明治海山（約8500万年前）

これらの海山の形成時期を調べることで、過去の太平洋プレートの動きや地球内部の活動を知る手がかりとなります。

関連項目

* 北西ハワイ諸島

天皇海山群は、太平洋の深海に眠る、地球の歴史を刻んだ貴重な遺産です。その研究は、地球科学の発展に大きく貢献しています。

もう一度検索