天神ノ森停留場

阪堺電気軌道阪堺線に位置する天神ノ森停留場（てんじんのもりていりゅうじょう、駅番号：HN58）は、大阪府大阪市西成区天神ノ森二丁目に所在します。

名称の由来

停留場の名称は、そのすぐ北西に鎮座する由緒ある天神ノ森天満宮に由来しています。地域に根差した、親しみやすい名前と言えるでしょう。

歴史

天神ノ森停留場の歴史は古く、1911年（明治44年）12月1日に開業しました。以来、路線の運営会社は時代の波に乗り、幾度かの変遷を経験しています。

1915年（大正4年）6月21日：南海鉄道との合併により、同社の停留場となります。
1944年（昭和19年）6月1日：南海の会社合併に伴い、近畿日本鉄道の一部となります。
1947年（昭和22年）6月1日：近畿日本鉄道からの路線譲渡により、再び南海電気鉄道の駅に戻ります。
1980年（昭和55年）12月1日：南海電気鉄道から阪堺電気軌道への路線譲渡が実施され、現在に至る阪堺電気軌道の停留場となりました。

このように、天神ノ森停留場は、日本の私鉄史における複雑な運営会社の変遷を物語る存在でもあります。

構造

停留場は専用軌道上に設けられており、特徴的な構造を持っています。ホームは上下線で別れており、それぞれ踏切を挟んで互い違いに配置された「千鳥式」の単式ホームが採用されています。安全確保のため、上下線ともにホームは踏切の手前に設けられています。かつては停留場の南側に列車が方向転換するための渡り線が設置されており、当停留場を始発とする列車も運行されていましたが、現在は使用されていません。この構造は、路面電車としての特性と、停留場周辺の地理的条件に合わせた合理的な設計と言えます。

周辺

停留場の周辺には、その名前の由来となった天神ノ森天満宮がすぐ近くにあります。その他にも、地域の信仰を集める阿部野神社や、かつてこの地にあった天下茶屋の跡を示す石碑などがあり、歴史と文化を感じさせるエリアです。交通の便としては、西へ約500メートル歩くと、南海電鉄および大阪メトロの岸里玉出駅（岸里口）があり、他路線への乗り換えや周辺地域へのアクセスが可能です。

バス路線

過去には、大阪市営バス（通称「赤バス」）が運行されており、天神ノ森天満宮停留所が設置されていました。この停留所には西成東ループのバスが停車していましたが、この路線は2013年（平成25年）3月31日をもって廃止され、現在はバスによるアクセスはありません。

付記

天神ノ森停留場のすぐ南側では、南海電鉄高野線が高架線を築いて交差しています。この高架線近くには、かつて宮ノ下という別の電停が存在しましたが、すでに廃止されています。しかし、その当時のホームの一部が現在も残っており、往時の名残を見ることができます。

隣の停留場

阪堺電気軌道阪堺線における天神ノ森停留場 (HN58) の隣は、恵美須町方面（北側）が聖天坂停留場 (HN57)、浜寺駅前方面（南側）が東玉出停留場 (HN59) となります。

関連情報

この天神ノ森周辺地域は、日本の近代文学作品においても描かれています。作家・林芙美子の代表作の一つである小説「めし」では、このあたりが物語の舞台の一部として登場しており、作品を通して当時の地域の雰囲気や人々の暮らしに触れることができます。

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