天羽英二

天羽英二の生涯と業績

天羽英二（あもう えいじ、1887年8月19日 - 1968年7月31日）は、日本の著名な外交官であり、数多くの重要な役職を歴任しました。彼は特に日独伊三国同盟締結時の駐イタリア特命全権大使として知られています。その後は外務次官や情報局総裁などの要職を務めました。しかし、終戦後にはA級戦犯容疑で巣鴨拘置所に収監され、公職追放の処分を受けることになります。

生い立ちと教育

天羽英二は徳島県に生まれ、父は天羽久米弥、母は天羽ハマでした。彼は旧制徳島中学校と神戸高等商業学校を経て、東京高等商業学校専攻部領事科を卒業しました。1912年には外交官及び領事官試験に合格し外務省に入省します。同期には有名な外交官である東郷茂徳がいます。

経歴と外交活動

第一次世界大戦後、天羽はヴェルサイユ条約委員として参加し、さらにワシントン会議の全権随員も務めました。1934年には外務省情報部長として国際的な問題に関与するなかで、彼の立場を表明した「天羽声明は」特に有名です。この声明では、日本が東亜の秩序維持に責任を持つ国であり、列強による中国への援助には反対する旨を述べました。これは当時広田弘毅外相の「和協外交」に基づくものでしたが、結果的に欧米からの警戒を招きました。

1939年からは駐イタリア特命全権大使として任官し、外交活動を続けました。その後近衞文麿内閣の外務次官、さらには東條英機内閣で情報局総裁を務め、戦時下の日本外交において重要な役割を果たします。1945年に日本が連合国の占領下に置かれると、天羽はA級戦犯として逮捕され、巣鴨拘置所に収監されることになります。

戦後の活動と評価

戦後は公職追放を受けるものの、1948年には釈放され、その後公職追放は解除されます。彼は財団法人日本国際連合協会の副会長及び事務局長を務め、文部省の日本ユネスコ国内委員会に参加するなど、教育と国際協力に貢献しました。

天羽の政治家としての業績は、彼が作成した日記や資料に集約されています。『天羽英二日記・資料集』に収められた彼の文書は、外交历史の第一級の資料とされています。この資料は日本の外交政策や情報戦略の裏側を理解する上で貴重な情報源となっており、国立国会図書館には彼の私文書も広範囲に寄贈されています。

家族と著作

天羽は公爵・松方正義の家系に属する久保美代と結婚し、三人の息子を持ちました。長男の天羽大平は日本女子大学の教授、次男の天羽民雄は外交官として国際的なキャリアを築き、三男の天羽浩平は東芝で役職を歴任しました。

彼の著作には『天羽英二日記・資料集』があり、全五巻が発行されています。これにより、彼の視点から見たさまざまな国際情勢や取り組みを知ることができます。

太平洋戦争や国際情勢にともなう外交の変遷を見つめるうえで、天羽英二の足跡は非常に重要なものとして評価されています。彼の影響は今日においても引き継がれ、その記録は後世にとっての貴重な資料となり続けているのです。

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