天輪王明誠教団

天輪王明誠教団の歴史と信仰の特色

天輪王明誠教団（てんりんおうめいせいきょうだん）は、日本の新興宗教の一つで、元々は天理教の講であった明誠社が起源を持つ教団です。この教団は、初代講元である奥六兵衛が京都で設立したもので、1876年に彼が天理教に入信してから始まりました。奥は明治10年代初期に京都で布教活動を行い、神道や陰陽道を含む伝統的な信仰にも精通しており、その活動は神秘的な性格を持ち、施しを通じて教えを広めることを重視していました。

1881年には、奥を中心に天輪王明誠社が結成され、その活動には中野政次郎や深谷源次郎、宇野善助といった有力な信者たちが参加しました。これらの信者たちは後に、それぞれ重要な役割を果たす存在となります。しかし、教派神道に属する神習教との接触を試みた奥の信仰方針に対し、深谷や宇野らが反発し、結果的に彼らは教団を離脱して「斯道会」を結成することとなります。

神習教傘下と教勢の拡大

1888年、明誠社は政府の取り締まりや社会的な圧力から逃れるために神習教の傘下に入ります。この決断により、天理教との関係は疎遠となり、明誠社は神習教のもとで教勢を広げていきました。明治20年代には、教会は20か所に及び、信者も増加しました。

六兵衛は京都府相楽郡にて布教を続け、中山みきの教えを広めました。1892年に発表した『十二段神楽歌』は、天理教の「みかぐらうた」と内容的に非常に類似しており、彼の教えが天理教の影響を色濃く受けていることを示しています。

独立と宗教団体法の施行

1940年に宗教団体法が施行されると、明誠社は神習教と主祭神に関する対立が生じ、教会本部の独立を決断します。この結果、京都の教会本部は宗教結社明誠本部として独立しました。一方、東京の教会東本部は神習教に残留し、明誠社は分裂を迎えることとなりました。

独立後、教会本部は若林神風の指導のもとで運営され、戦後の1953年には川崎市を本部として宗教法人明誠社が設立されました。その後、幾度かの名称変更を経て、現在の名称となり、横浜市に本部を構えています。

現在の信仰活動と天理教との関係

今日の天輪王明誠教団は、教祖として中山みきを崇拝し、「みかぐらうた」を儀式の中で用いています。1933年以降、若林神風が奈良県天理市の「ぢば」への訪問を行ったことも影響し、多くの信者が公然と参拝を行うようになりました。このように、天輪王明誠教団は独自の信仰を持ちながらも、今なお天理教との関係を深く意識して活動しているのです。

以上が天輪王明誠教団の歴史とその特色です。教団は時折変化を遂げながらも、多くの信者の信仰の拠り所となっています。

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