太上天皇(だいじょうてんのう)についての詳細
太上
天皇は
譲位した
天皇が与えられる尊称で、これは中国の
皇帝の称号から派生したものです。日本において、この称号は歴史的背景を持き、初めて持統
天皇が
譲位を行った際にこの称号が定められました。最初の太上
天皇は持統
天皇で、彼の下で日本の
天皇制度が形作られていきました。続いて、江戸
時代までに計59人の上皇が存在しました。このことは、日本の
皇室において多くの
天皇が
譲位し、上皇の地位を得たことを示しています。
太上天皇の称号の成り立ち
日本の
皇室において、初めての
譲位が行われたのは皇極
天皇の
時代であり、当時は「
天皇」という称号は存在しませんでした。この時点では「大王」と呼ばれており、そのため「太上
天皇」という称号は適用されませんでした。太上
天皇は持統
天皇の
譲位によって初めて公式に使用されました。
太上
天皇の略称として「上皇」が一般的に使われ、
出家した場合は「
太上法皇」とも称されましたが、法的に確立された地位ではありません。特に、宇多法皇がその称号を使った初例としての先例を持ちます。
政治的な側面
譲位した
天皇が政治に干渉する場合、「
院政」と称され、新
天皇からの称号の授与が行われます。
治天の君として政務を執り、歴史的には院の
御所が
仙洞御所と呼ばれたことから、「仙洞」という言葉も上皇に関連して使われることがあります。
一連の歴史的経過
平安時代以降、
天皇が
崩御すること自体がタブー視されるようになり、
譲位の手続きが急かされる事例が多く見られました。これにより、
譲位から
崩御までの時間差が短く、
天皇の
尊号贈呈が間に合わないことがしばしばありました。たとえば、後
一条天皇は
崩御が直前まで告知されずに
譲位手続きを進められていました。
分権の要素
嵯峨
天皇は、権力分掌の問題から太上
天皇の称号を辞退する意向を持ちましたが、これは新
天皇を支えるために必要な役割としての認識が背景にありました。しかし、最終的には新
天皇により再び太上
天皇の地位が与えられました。歴史的には、嵯峨
天皇以降の太上
天皇は「上皇」と呼ばれ、彼以前の
天皇は「太上
天皇」として区別されています。
皇室典範の変化と具体的な例
近代に入ると、
天皇の退位に関する法律が整備され、特例法が制定されました。
2019年には、元号が改元される際に、125代
天皇の
譲位に伴って「上皇」の称号が正式に認められました。このように、太上
天皇の概念は変わり続けながらも、継承されてきたことが記録として残されているのです。
結論
制度的にも歴史的にも、太上
天皇は日本の
天皇制度における重要な役割を果たしてきました。これにより、
皇位の継承や
譲位の
慣習が様々な形で発展し続けることとなりました。