太田資康

太田資康（おおた すけやす）：激動の時代を生きた武将

太田資康は、文明8年（1476年）に太田道灌（資長）の嫡男として生まれました。父は名将として知られる太田道灌であり、資康もまた武将としてその名を歴史に刻んでいます。

生涯

文明17年（1485年）、資康は江戸城西側の平河天満宮で元服しました。しかし、父・道灌と主君・上杉定正の関係は良好とは言えず、不穏な空気が漂っていました。そのため、資康は定正と対立する初代古河公方・足利成氏のもとに人質として預けられることになります。

翌文明18年（1486年）、父・道灌が定正によって謀殺されるという悲劇が起こります。資康は急ぎ江戸城に戻り家督を継承しますが、定正の追っ手によって江戸城を追われ、甲斐国へと逃れることとなりました（江戸城の乱）。

長享2年（1488年）に勃発した長享の乱では、定正に追われていた三浦高救（定正の実兄）と共に上杉顕定軍に加わります。この戦いが縁となり、後に高救の孫娘（義同の娘）を妻とすることになりました。また、この頃には生前の道灌と親交のあった万里集九が資康を見舞い、句会を開いたとされています。

明応3年（1494年）、上杉定正が不慮の事故で亡くなると、舅である三浦義同が相模三浦氏の家督を奪還します。これにより、資康も扇谷上杉家への復帰を許され、新当主・上杉朝良に仕えることとなりました。当初は菅谷城にいましたが、長享の乱が終結した永正2年（1505年）頃に江戸城へと帰還を果たしました。

しかし、平穏な日々は長くは続きませんでした。永正10年（1513年）、舅・三浦義同が伊勢宗瑞（北条早雲）に攻められると、資康は援軍として駆けつけます。しかし、相模国三浦郡にて早雲の軍勢に敗れ、戦死したと伝えられています。

資康の死については異説も存在します。一説には、資康の勢力を危険視した主君・上杉朝良によって謀殺されたとも言われています。また、その年次についても明応7年（1498年）・永正2年（1505年）など諸説あります。

太田資康は、父の死という悲劇を乗り越え、激動の時代を生き抜いた武将でした。その生涯は、戦国時代の武将の宿命を物語るものと言えるでしょう。

もう一度検索