太田資美

太田資美：激動の時代を生き抜いた掛川藩主

太田資美は、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した大名です。遠江国掛川藩の第7代にして最後の藩主として、そして上総国松尾藩知事として、激動の時代を生き抜きました。掛川藩太田家11代当主にあたる彼は、5代藩主・太田資始の実子、もしくは先代藩主・太田資功の養子という説があり、その出自には諸説あります。

文久2年(1862年)、わずか8歳で養父・資功の死去に伴い家督を継承しました。幼少であったため、資始による補佐を受けて藩政を担ったと伝えられています。

慶応4年(1868年)、戊辰戦争の渦中に巻き込まれ、旧幕府から駿府城の守備を命じられますが、その後新政府への恭順を表明し、上洛して朝廷に参内。従五位下・備中守に叙任されました。しかし、徳川家の移封に伴い、掛川藩は上総国に移封されることとなり、まずは夷隅郡内、その後山辺郡内に改めて5万石余りの領地を与えられ、柴山藩、そして松尾藩と改称しました。

松尾藩知事となった資美は、わずか4年間という短い在任期間でしたが、優れた政治手腕を発揮しました。藩校「教養館」や病院「好生所」を設立し、財政立て直しのため物産会所を設置、養蚕を奨励するなど、藩政改革に尽力しました。

明治4年(1871年)の廃藩置県により、知藩事の職を免ぜられますが、その後もその活躍は続きます。明治9年(1876年)には宮中祗候に就任、明治17年(1884年)には子爵を叙爵されました。

明治時代には、慶應義塾の外国人教師招聘における財政支援や、東京仏学校（法政大学の前身の一つ）の設立に尽力するなど、教育・文化面でも多大な貢献を果たしました。

資美の妻は間部詮勝の娘である薬普であり、長男には太田資業（子爵）、四女には成瀬正雄（成瀬正勝の父）がいます。

このように、太田資美は幼少期からの困難を乗り越え、藩主として、そして明治期の社会人として、様々な分野で手腕を発揮した人物と言えるでしょう。わずか8歳で家督を継ぎ、戊辰戦争、廃藩置県といった激動の時代を生き抜き、教育や文化の発展にも貢献した彼の生涯は、日本の近代化を彩る重要な歴史の一部を担っています。彼の功績は、現代においても高く評価されるべきものです。

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