太陰神

太陰神（たいおんじん）について

太陰神は、陰陽道において重要な役割を担う方位神であり、八将神、そして十二天将の一柱としても知られています。暦によっては「だいおん」「太おん」とも呼ばれ、また「大陰」「大陰神」とも表記されます。読み方も「たいいん」「だいおん」と複数存在しますが、ここで注意すべきは、月を意味する「太陰（たいいん）」とは異なる神格であるということです。

太歳神の后としての側面

太陰神は、同じく八将神の一柱である太歳神（木星を司る神）の后とされています。仏教においては、その本地仏は聖観音菩薩であるとされています。このことから、太陰神は単なる方位神としてだけでなく、より深い信仰の対象でもあったことが伺えます。

土星の精としての性質

大陰神は、土星（鎮星）の精であり、土（＝陰）の性格を持つとされています。このため、男性の陽の性質とは対照的に、女性の陰の性質に対して嫉妬心を抱くと考えられていました。そのため、太陰神が在位する方角に向かって、女性に関わる事柄（婚礼や出産など）を行うことは凶とされています。これは、太陰神が女性の幸福を妨げると考えられていたためです。しかし、その一方で、学問や芸術に関することについては吉とされており、知的好奇心や創造性を刺激する力を持つと信じられていました。

太陰神の在位

太陰神の在位する方角は、その年の干支によって決まります。具体的には、夫である太歳神が在位する方角の3つ後（太歳神に向かって右に数えて3つ目）の方角に在位するとされています。以下に、各年の干支と太陰神の在位する方角の関係をまとめます。

• - 子年：戌の方角
• - 丑年：亥の方角
• - 寅年：子の方角
• - 卯年：丑の方角
• - 辰年：寅の方角
• - 巳年：卯の方角
• - 午年：辰の方角
• - 未年：巳の方角
• - 申年：午の方角
• - 酉年：未の方角
• - 戌年：申の方角
• - 亥年：酉の方角

この表からわかるように、太陰神の在位は毎年変化するため、注意が必要です。

関連事項

太陰神を理解する上で、以下のような関連する概念も知っておくと良いでしょう。

• - 方位神: 特定の方角に存在するとされる神々の総称で、吉凶を司ると考えられています。
• - 八将神: 陰陽道における八つの方位を司る神々で、太歳神、大将軍、太陰神、歳刑神、歳破神、歳殺神、黄幡神、豹尾神で構成されています。

太陰神は、その複雑な性格と影響力から、古代の人々にとって重要な信仰の対象であり、生活や儀礼に深く関わっていました。現代においても、その存在は日本の文化の中に息づいています。

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