太歳神

太歳神（たいさいしん）は、陰陽道において重要な役割を担う方位神の一つであり、八将神の一柱として知られています。暦本によっては「だいさい」や「太さい」と表記されることもあります。この神は、同じく八将神の一人である太陰神の夫であるとも伝えられており、仏教においては薬師如来が本地仏とされています。

太歳神は、木星（歳星）の精霊とされ、一年を通じた四季の中で万物の生成を司ると考えられています。その性格は君主のようであり、八方に対して強い影響力を持つとされています。特に、木星の精であることから、樹木や草などの植物と深い関わりがあり、太歳神が位置する方位に向けて樹木を植えることは吉とされています。しかし、反対に、樹木の伐採や草刈りなどは凶とされており、避けるべき行為とされています。

また、君主的な立場にある神であるため、争いごと、例えば訴訟や談判などは、太歳神の怒りを買い、疫災を引き起こす可能性があると考えられています。同様に、葬儀や解体といった行為も凶とされ、慎むべきです。一方で、貯蓄、家屋の建築や増改築、引っ越し、商取引、結婚、就職といった活動は、太歳神のご加護が得られ、大吉とされています。これらの行動は、太歳神の恩恵を最大限に受けることができるとされています。

太歳神がその年に位置する方角は、その年の干支（十二支）に対応します。例えば、子年であれば北、丑年であれば北北東といった具合に、十二支の方位と一致します。このため、毎年のように太歳神の向きが変わるので、建築や引っ越しなどの際には、その年の方位を考慮することが重要です。

関連する項目として、方位神、八将神、太歳星君などが挙げられます。これらの神々は、陰陽道における方位の吉凶を司る存在であり、人々の生活に深く関わっています。

太歳神は、人々の行動や生活に影響を与える存在であり、その力を理解し、適切な行動をすることで、より良い運勢を招くことができると信じられています。そのため、昔から多くの人々によって信仰され、大切にされてきました。現代においても、その影響は完全になくなったわけではなく、今もなお、太歳神の向きを気にする人が多く存在します。

もう一度検索