奇兵隊 (テレビドラマ)

『奇兵隊』

『奇兵隊』（きへいたい）は、日本テレビが1989年12月30日と31日に放映した『日本テレビ年末時代劇スペシャル』の第5作目であり、平成時代初の作品となります。本作では、これまでのシリーズで主演を務めてきた里見浩太朗に代わり、松平健が主役を務めています。

この作品では、映画『幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬』の影響を受け、スタッフに特別出演のオファーがなされ、武田鉄矢が登場します。そのほかにも中村雅俊、高橋英樹、山岡久乃が友情出演を果たしています。脚本は、従来の本シリーズで定評のある杉山義法の後任として、野上龍雄が担当しました。

放送時間と編成

本作は、1986年の『白虎隊』以来の新しい放送スタイルを取り入れています。これまでは22時前にNNNニューススポットや天気予報を挟んで放送されていましたが、本作は第一部を21時から、第二部を19:54から放送し、中休みがなく、視聴者にとっては一気に鑑賞できる仕組みになっています。

特に、12月30日の第一部放送においては、各地でのネット状況が調整されており、いくつかの地域では『土曜ワイド劇場』の放送枠を変更してまでこの作品を優先放送しました。また、沖縄県での視聴者には、1年遅れで放送されるという特異な編成が取られました。

あらすじ

第一部「京洛の花に舞う－決起の章－」

当作品の第一部は、安政の大獄から2年後の文久2年（1862年）を舞台としており、長州藩の若者たちが尊王攘夷の理念のもとに活動する様子を描いています。長州藩は開国派の長井雅楽が指導しており、若者たちはその動向に対抗し、果敢に行動を起こします。また、高杉晋作は上海を訪れ、現地の人々の窮状を見て、深い衝撃を受けます。

さらに、高杉は下関の商人と連携して庶民からなる軍隊、奇兵隊を結成し、幕府に対抗する姿勢を強めます。しかし、彼の周囲には困難が付きまとい、仲間たちの運命もまた厳しいものとなります。

第二部「四境ことごとく敵－回天の章－」

続く第二部は、禁門の変によって長州藩がさらなる試練に見舞われる様子を描いています。長州藩への報復として四国連合艦隊が襲来しますが、藩内は未だに攘夷派と改革派が激しく対立しています。この混乱の中で、高杉は仲間たちと共に再び立ち上がります。

高杉は主導権を取り戻すために必死に戦い続け、遂には幕府軍に勝利を収める。しかし、高杉の健康は脆弱であり、彼が息を引き取る時期が近づいています。全てを懸けた高杉の挑戦は、日本の歴史に大きな影響を与えることになります。

スタッフとキャスト

製作総指揮には北川信が、脚本には野上龍雄が名を連ねており、監督は齋藤武市が担当しています。また、主題歌にはさだまさしの「冬の蝉」が使われています。

キャスト陣の中には、松平健を筆頭に中村雅俊や片岡鶴太郎、津川雅彦などが名を連ね、特別出演の武田鉄矢も重要な役割を果たしています。

関連作品

本作はその後、1991年の『炎の如く 吉田松陰』など、関連の作品にも影響を与えます。また、幕末を題材にした他作品と同様のトーンやテーマが引き継がれることで、時代劇の魅力を広げていくことになります。

『奇兵隊』は、歴史に刻まれた志士たちの物語を通じて、当時の抱えていた苦悩や希望を描いており、視聴者に深い共感を与える作品となっています。

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