奈勿尼師今

奈勿尼師今（なもつ にしきん）

奈勿尼師今（生年不詳 - 402年）は、新羅の第17代の王（在位:356年 - 402年）であり、金氏の始祖の一人です。彼の治世は、新羅が周辺諸国との関係を深め、国としての基盤を固める上で重要な時期となりました。

生い立ちと即位

『三国史記』によれば、奈勿尼師今は味鄒尼師今の甥にあたります。訖解尼師今が後継者を残さずに亡くなったため、奈勿尼師今が王位を継承しました。この継承以降、新羅の王位は金氏によって世襲されることとなり、その体制は53代神徳王まで続くことになります。

治世の概略

奈勿尼師今の治世は、外交と国防に重点が置かれました。当初は高句麗に従属していましたが、後に倭（日本）に王子を人質として差し出すなど、状況に応じて外交政策を柔軟に変化させました。また、中国の前秦にも朝貢を行い、その庇護を求めることで、国際的な地位を確立しようとしました。

奈勿尼師今の時代には、国号を「斯盧」から「新羅」に改めたとされています。これは、新羅が新たな段階に入ったことを示す象徴的な出来事と言えるでしょう。

外交と軍事

364年には、倭の侵入を受けましたが、巧みな戦略を用いてこれを撃退しました。草人形を使った奇策や伏兵の配置など、知略に長けた一面を見せています。一方で、百済との関係も重視し、366年と368年には百済の使者を迎え入れ、羅済同盟を維持しました。373年には、百済の城主が領民を率いて新羅に投降するという出来事もありましたが、奈勿尼師今は百済の主張を退け、亡命者を受け入れました。

377年には高句麗に随伴して前秦に朝貢し、382年には独自に朝貢を行いました。しかし、『好太王碑文』によれば、新羅は高句麗の属国であり、391年には倭が新羅、百済、加羅を破り服属させたとされています。また、『三国遺事』には、新羅が倭に人質を送ったという記述もあります。高句麗との関係においては、392年に人質を送り臣従を誓ったことで、倭との関係が悪化し、393年には倭の侵攻を受けました。金城が包囲されるという危機的な状況に陥りましたが、籠城戦と伏兵によって倭軍を撃退しました。399年にも倭の侵攻を受けましたが、高句麗に救援を要請し、400年には高句麗軍の助けによって倭軍を退けました。

晩年と死

奈勿尼師今は、47年間の在位の後、402年に亡くなりました。『三国遺事』によれば、彼の陵は占星台の西南に位置するとされています。現在の慶州市校洞にある史跡が、彼の王陵であると比定されています。

奈勿尼師今の治世は、新羅が様々な外交的・軍事的試練を乗り越え、国としてのidentityを確立していく上で重要な時期でした。彼のリーダーシップは、後の新羅の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

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