奈良電気鉄道デトボ300形電車

奈良電気[[鉄道]]デトボ300形電車（モト60形）

奈良電気[[鉄道]]デトボ300形電車は、現在の近鉄京都線にあたる奈良電気[[鉄道]]（奈良電）が所有していた無蓋電動貨車です。開業当初から資材輸送に活躍し、近鉄に引き継がれた後にはモト60形へと形式が変更されました。

概要

1928年11月3日の桃山御陵前 - 大和西大寺間の開業に向けて、同年10月にデトボ301の1両が日本車輌製造で製造されました。開業準備に必要となる資材の運搬を担い、奈良電の発展を支えました。

車体

全長は14,440mm、最大幅は2,394mm。車体の両端には半鋼製の乗務員室が設けられ、各々に3枚窓を持つ非貫通構造の妻面を備えていました。前照灯は妻面の屋根上に設置されています。乗務員室の間は無蓋の平坦な荷台となっており、最大15.3tの荷重を積載可能でした。荷台には鋼板製のあおり戸が設置され、積荷の落下を防いでいました。また、荷台の奈良寄りには独立したパンタグラフ台が設けられていました。車体下部には、鉄板製のあおり戸よけが設置されていました。

主要機器

同時期の京阪電気[[鉄道]]の車両設計の影響を強く受けており、制御器などの電装品は京阪との資本関係があった東洋電機製造製、台車は住友金属工業製という、当時の京阪における標準的な組み合わせが採用されました。

主電動機

出力60kWの主電動機を4基搭載し、貨物輸送に必要な牽引力を確保していました。

制御器

東洋電機製造製の制御器を搭載し、スムーズな加減速を実現していました。

台車

住友製鋼所製の78A-32-B2台車を装着し、安定した走行を支えていました。

ブレーキ

ウェスティングハウス・エア・ブレーキ社が開発したM弁を簡略化したF三動弁を用いたAMF自動空気ブレーキ（Fブレーキ）を搭載。これにより、積載時においても安全なブレーキ性能を確保していました。

運用と廃車

奈良電開業以来、保線作業や資材輸送に用いられ、近畿日本[[鉄道]]との合併に伴いモト60形61と改番されました。長年にわたり活躍しましたが、製造から40年が経過し老朽化が進行。1500Vへの昇圧工事完成を機に全車廃車の方針が決定し、1969年9月21日の昇圧時に廃車となりました。

参考文献
慶応義塾大学鉄道研究会編『私鉄ガイドブック・シリーズ 第4巻 近鉄』 誠文堂新光社、1970年。
三好好三『近鉄電車 大軌デボ1形から「しまかぜ」「青の交響曲」まで100年余りの電車のすべて』（JTBキャンブックス）、JTBパブリッシング、2016年。ISBN 978-4-533-11435-9
『鉄道ピクトリアル』各号

関連外部リンク
鉄路の名優 電動貨車 - 近畿日本[[鉄道]]

関連項目
* 近畿日本[[鉄道]]の車両形式

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