奥右筆

奥右筆（おくゆうひつ）

概要
奥右筆は江戸幕府における特別な役職であり、若年寄の指導のもとで活動していました。時には奥御祐筆とも呼ばれ、主に江戸城の本丸に位置する御用部屋に常駐することが多かったです。江戸幕府の初期から右筆制度が確立され、室町幕府や豊臣政権から引き継がれた右筆の家系の出身者がこの役職に就いていました。

徳川綱吉が将軍に就任した際、館林藩から若干の側近を連れて江戸城に入りました。その中には右筆も含まれ、特に奥右筆に任命されて、綱吉が発行する文書の作成を担当しました。このため、従来の右筆は表右筆として区別されるようになりました。

地位の変遷
当初、奥右筆には綱吉の側近が数名任じられていましたが、やがてその数は増加し、宝暦年間には17名にまで拡大しました。この拡大に伴い、表右筆から奥右筆に転任するような事例も増え、役職の昇進の道筋が形成されました。奥右筆は、表右筆に比べた際にその重要性が厚遇方面でも示されました。例えば、享保年間の制度において、表右筆の組頭の禄高は300石、役料は150俵であったのに対し、奥右筆の組頭は400石の禄高に加え200俵の役料を受け取っていました。

役職の責務
奥右筆の任務は、幕府の機密文書の管理や作成を含むもので、公式には地位が低かったものの、幕府の他の役職と比べても特に重要な役割を担うものでした。現在の政策秘書のような役割を果たしており、しばしば幕閣、大老や老中の会議において意見を述べることも許可されていました。

諸大名が幕府に書状を送る際、内容は必ず奥右筆によって事前に確認されるため、奥右筆の判断次第でその書状が将軍に渡るかどうかが決まることになっていました。このため、奥右筆は幕府の政策に対しても大きな影響を持つ存在でした。具体的には、将軍の命令に基づき、政策に関する調査や報告を行う職務が割り当てられており、その報告が幕府の政策や大名への要求に影響を及ぼすことさえありました。このため、諸大名にとって奥右筆は恐れられる存在であったと言われています。

著名な奥右筆のメンバー
奥右筆には多くの著名な人物がいましたが、例えば岡本保江、岡本久包、岡本久暢、瀬名貞雄、肥田頼常、屋代弘賢、向山源太夫、松平太郎、渋沢成一郎などが挙げられます。

関連作品
奥右筆に関する作品としては、以下のようなテレビドラマがあります：

• - 旅人異三郎（1973年、東京12チャンネル・三船プロダクション、杉良太郎主演）
• - 斬り捨て御免!（1980年、東京12チャンネル・歌舞伎座、中村吉右衛門主演）
• - お命頂戴!（1981年、テレビ東京・歌舞伎座、伊吹吾郎主演）

関連項目
奥右筆の制度について学ぶために関連する項目には側衆、右筆、表右筆、江戸幕府日記などがあります。

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