奥平定能

奥平 定能の生涯

奥平定能（おくだいら さだよし）は、戦国時代に活動した武将であり、奥三河の国衆の一員として知られています。彼は奥平定勝（貞勝、道文入道）の嫡男で、母は水野忠政の妹でした。親族には奥平貞治という弟や、奥平信昌や仙千代、奥平昌勝という子供たちがいます。特に奥平信昌は、後に重要な役職を担うことになります。

成長と初期の軍歴

定能の幼名は仙千代で、監物丞として知られ、美作守を称していました。彼の名が史料に初めて登場するのは、天文16年（1547年）8月の今川義元の文書においてであり、当時、彼は叔父の久兵衛尉と共に医王山砦を攻略して恩賞を受けていました。この頃、彼は今川氏への忠義を示すために人質として吉田に送られることになります。

定能は弘治2年（1556年）、九八郎に改名し、叔父らと共に今川氏に対する反逆を考えました。彼は高野山へ逃げ、永禄元年（1558年）までには赦免されました。その後、桶狭間の戦いで今川義元が織田信長に敗れた後も、定能は父と共に今川派として行動しましたが、永禄7年（1564年）に入ると、徳川家康に従属する決断を下します。これにより、家康から多くの知行を賜り、美作守の受領名も授かりました。

武田氏との関係

定能が動向を変えるきっかけとなったのは、永禄11年（1568年）に武田信玄が駿河に侵攻し始めたことです。定能と武田氏との接触があったことが記録されており、元亀元年（1570年）には武田軍と対峙するも、逃げ帰る結果となりました。最終的に、彼は武田氏に従う決断をし、田嶺や菅沼氏と共に武田氏の三河侵攻に参加しました。しかし、同年4月に信玄が亡くなると、その後の戦局は静まりました。

徳川家康への帰属

元亀4年（1573年）、武田軍が撤退したのを受け、定能は家康と連絡を取り始めます。家康は彼の地位を考慮し、弟子となるように促しました。信長の意向を受け、定能は家康に再び従う意向を示し、家康の長女・亀姫との婚約が結ばれることになります。この日付は元亀4年6月22日であり、定能は多くの部下を連れて徳川のもとへ走りました。しかし、彼の人質の一部は処刑されてしまいました。

晩年の活動

天正元年（1573年）、定能は長男である貞昌に家督を譲った後、主に家康と共に行動し、奥三河の情報を提供する助言役として過ごすことになります。長篠の戦いでは、酒井忠次に所属し、戦局に貢献しました。後に、豊臣秀吉からも信任され、美作守に再任されて二千石を与えられるなど、重要な役割を果たしました。

秀吉が没した後の慶長3年（1598年）12月11日、彼は病により亡くなります。彼の生涯は62年に及び、戒名は寿昌院殿牧庵道渓大居士です。彼の息子たちや家族が後世に及ぼした影響も含め、定能の生き様は日本の歴史において重要な位置を占めています。

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