奥村尚寛

奥村尚寛の生涯

奥村尚寛（おくむら ながのぶ）は、1757年に金沢で生まれた加賀藩の年寄であり、奥村宗家の第10代当主です。彼の父は同じく加賀藩の年寄であった奥村隆振で、養父は奥村栄輇です。尚寛の家族には、正室に大音厚曹の娘があり、子供には奥村栄実や横山隆盛、前田内匠助、中川顕忠がいます。通称は助右衛門で、官位は従五位下河内守を保持し、号は慎斎です。

初期の生涯と家督相続

尚寛は、明和2年（1765年）に家督を相続することになります。当時、彼はまだ若い年齢であり、養父の栄輇が早世したため、尚寛は末期養子として家を継ぎました。彼は1万7000石の知行を受け継いだものの、早くからその重責を背負うこととなります。

官位昇進と藩政への関与

安永6年（1777年）の時点で、尚寛は従五位下河内守に叙任され、藩主前田重教の世子・斉敬が誕生した安永7年（1778年）には蟇目役という重要な役職をつとめました。しかし、天明6年（1786年）には健康を害し、出仕できなくなったことが影響して、知行高が5000石に減少する事態に陥ります。その翌年には、再び旧禄高に復帰しました。

教育活動と藩校の設立

寛政3年（1791年）には、藩主治脩から学校方御用主附に任命され、教育の改革にも力を注ぎました。特に注目すべきは、彼が寛政4年（1792年）に藩校明倫堂を設立したことです。初代学頭には京都から儒学者の新井白蛾を招き、自らも彼から周易の講義を受けるなど、教育の重要性を重んじる姿勢がうかがえます。

晩年と死去

享和3年（1804年）12月24日、尚寛は47歳でこの世を去ります。彼が残した業績は、新しい教育制度の確立と藩校明倫堂の設立に象徴されています。家督は嫡男の栄実が引き継ぎ、尚寛の影響はその後も続いていくことになります。彼の墓所は、野田山墓地に位置しています。

参考文献

• - 新人物往来社「三百藩家臣人名事典」
• - 東京大学史料編纂所「加賀藩史料」
• - 「藩国官職通考」

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