奪戦元年

『奪戦元年』

概要

『奪戦元年』は、1984年から1985年にかけて『週刊少年サンデー』で連載された、日本のSFアクション漫画です。原作は火浦功、作画は里見桂が担当しています。物語は地球を侵略しようとする異星人と、それに立ち向かう超人たちとの戦いをコメディタッチで描いており、全30話から構成されています。単行本は3巻リリースされましたが、その後すぐに絶版となりました。

この作品では、火浦が原作を手がけているものの、漫画の進行においては序盤から原作との乖離が見られます。特に中盤以降は、基本設定を除けばほぼ別の物語と化しています。火浦は、原作におけるギャグの多様性が絵での表現に難しさをもたらしたことや、連載作品に不慣れな自分の特性をこの状況の理由として挙げています。また、作画を担当した里見も、SFやメカニックデザインが初めての経験であったため、作品の制作に際して多くの困難を感じていたと語っています。

人気と連載終了

連載当時、週刊『サンデー』は『うる星やつら』や『タッチ』といった人気作品で溢れていました。そのため、コメディおよびSFの要素を持った本作はなかなか注目を集めることができず、連載は1年未満で打ち切りの運命を辿りました。連載終了前には、特別編として正月をテーマにした1話完結のエピソードがいくつか掲載されたため、作品の終了に際しても一定の盛り上がりを見せましたが、最終エピソードの準備が足りないままの発行だったために慎重さが求められました。このエピソードの1つは、火浦の短編小説集に収録されている短編作品を基にしています。

なお、登場する敵キャラクターやメカニックのデザインは出渕裕が担当しましたが、連載時にはクレジットに記載されていないため、ファンの間での認知は限定的でした。

あらすじ

物語の主人公である野木聖は、ある日、謎の老人が巨大な機械生物と戦う場面に出くわします。この老人は、地球を守るために戦ってきた正義の超人「戦士（ひーろー）」でした。数億年前から銀河を支配していた異星文明・クロサイトが再び地球に侵略を仕掛けたとき、偶然その場に居合わせた聖は、不本意ながらその戦士の後継者としての道を歩むことになります。彼は仲間としての道を歩む如何に関わらず、地球の運命を賭けて、 クロサイトと戦う宿命を背負うことになります。

登場人物

• - 野木 聖: 主人公。普通の学生生活をしていたが、戦士としての使命を受け継ぎ、ひとりでクロサイトに立ち向かうことになります。彼は強力な敵に困惑しつつ、次第に戦士としての自覚を得ていきます。

• - 森村 まなつ: 聖の隣人であり幼馴染。彼女は常に聖を思いやりながらも、彼の迷いを叱責し、信じ続けます。

• - 遮光器土偶: 歴代の戦士たちの助言者。形状は土偶ですが、自ら動き、言葉を話し、聖をサポートします。物語の中心的なキャラクターです。

• - 先代戦士: 聖の前に戦士だった老人で、歴史を通じてクロサイトと戦ってきましたが、聖に後継者の運命を託して亡くなります。

• - ナジャ・ビー: クロサイトの尖兵で、地球人女性の姿を持ちながら、地球内部に侵入し、聖に執拗に絡んでいきます。

まとめ

『奪戦元年』は、火浦功と里見桂によるユニークなSFアクション漫画であり、当時の漫画シーンでの重要な位置を占めていました。当時の作品の中で、期待された展開とは異なる道を歩んだその内容は、今でも多くの読者に記憶されています。

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