女孺

女孺（にょじゅ、めのわらわ）

女孺とは、平安時代の日本で後宮に属する下級女官の一つであり、主に内侍司での雑事に従事していました。彼女たちは掃除や照明、その他の雑務などを担当し、後宮の日常を支える重要な役割を果たしていました。この女孺は、同じ内侍司の構成員の中でも特に絵符である「女嬬」という名称でも知られています。

構成と役割

内侍司では、女孺は特定の階級に分かれています。その構成は、上位から「尚侍」が2名、「典侍」が4名、「掌侍」が4名、そして「女孺」が約100名とされ、その数はかなりのものでした。女孺は皇族や貴族の女の子たちから選ばれ、招聘された後、後宮の様々な雑用を担当しました。古い文献には、女孺の活動や役割の詳細が記録されています。特に『日本書紀』の中では、女孺に関する記録が見受けられます。

大宝律令以後、女孺は後宮の十二司という役職の中でも末端の職員として位置づけられ、内侍司に100人、蔵司に10人、書司に6人、その他の官司にもそれぞれ定員が設けられました。例えば、掃司には10人、薬司には4人という具体的な数があったことが記録されています。また、定員外の女孺は縫司に配属されました。このような制度により、各女官の役割と責任が明確にされました。

身分と給料

女孺は多くの場合、低い身分に属していましたが、禄令によれば、彼女たちには地位に応じた季禄が支給されました。有位者には少初位相当の給料が与えられ、無位者はその分が布1端分減額されるなどの待遇がありました。彼女たちは物理的な労働を伴う厳しい環境の中で生活していましたが、その中でも時折、才能を認められることがありました。特に有名な例として、従四位典侍となった和気広虫は、元々女孺としての出身でした。

まとめ

女孺たちは日本の歴史において、後宮の生活の中で地味ながらも不可欠な役割を果たしていたことが分かります。彼女たちの存在は、皇族や貴族の日常生活の裏方としての重要性を物語っています。その一方で、身分は低かったものの、時折特別な才能が認められることで、出世するチャンスがあったことも示されています。女孺は、平安時代の後宮社会における下級女官の代表的存在として、今なお語り継がれています。

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