尚侍

尚侍（ないしのかみ/しょうじ）について

尚侍（ないしのかみまたはしょうじ）は、日本の律令制において非常に重要な官職の一つであり、内侍司という女官組織の長官を務める役割を持っていました。尚侍は、主に天皇に仕え、その信任を受けて官務を行う立場にありました。これは、特に天皇家や摂関家といった有力な家から選ばれた女性によって担われるものでした。

官職の概要

尚侍の准位は従五位から始まり、その後従三位に昇格することが一般的でした。定員は二名に限られ、その多くは著名な家系の女性、特に摂関家の妻や娘として知られています。任務としては、天皇に近侍し、臣下がとの間で文書を取り扱ったり、天皇の命令を臣下に伝える「内侍宣」と呼ばれる仕事を行いました。

このような役割は尚侍専用のものであり、典侍以下の女官たちが担うものではありませんでした。また、奈良時代から平安時代の初期にかけては、尚侍が尚蔵といった別の職務を兼任することもあったため、その役割は多岐にわたりました。

歴史的背景と著名な尚侍

記録に残る最初の尚侍は、奈良時代における藤原房前の娘で、藤原仲麻呂の妻にあたる藤原宇比良古です。彼女は、その後権力を持つ立場となり、尚侍としての地位を確立しました。また、藤原種継の娘であった藤原薬子も有名で、平城天皇の寵愛を受けてその地位を大いに高めました。

9世紀末から10世紀にかけて、尚侍は女性たちが女御や更衣として後宮に入る際の助けの役割も果たしていたと思われます。特に、藤原威子などは、東宮妃や后妃になる前に尚侍としてその地位を高めることがありました。

少女時代から中世までの変遷

平安時代後期になると、尚侍の新たな任命はほとんど行われなくなり、室町時代に入ると完全にその役割を果たす女性は姿を消しました。このことは、時代の変遷と共に役割が変わっていったことを示唆しています。また、明治時代には女官制度改革に伴い、尚侍は宮中女官の中で最高の地位を持つ官名となりましたが、実際にこの職に任命された例は存在しませんでした。

大正時代後期、摂政宮（後の昭和天皇）の女官制度改革によって、尚侍という職名は最終的に廃止されました。これにより、長い歴史を持つ尚侍の役割は時代と共に消えていくことになりますが、この職名は日本の歴史において特有の役割を果たしたことが記憶されています。

関連項目

• - 御息所：天皇の妃や愛人としての役割を持つ女性。
• - 上臈：高 rankingの女官とされる役職。

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