女性権利大臣

フランスにおける女性権利大臣の歴史と役割

フランスの女性権利大臣（Ministre chargé des Droits des femmes）は、内閣の一員として、女性の権利擁護と男女平等推進を担う重要な役職です。その歴史は、1974年にヴァレリー・ジスカール・デスタン大統領がフランソワーズ・ジルーを女性の地位担当副大臣に任命したことから始まりました。

大臣の変遷と省の設置

以降、女性の地位に関する役職は、大臣、特命大臣、副大臣と格付けが変わり、内閣構成員以外の特命に降格した時期もありましたが、概ね、女性の地位、権利、雇用、男女平等、パリテ（候補者男女同数法）、女性差別対策などの責任を担ってきました。

特に、1985年にミッテラン政権下でイヴェット・ルーディが女性権利大臣に就任し、「内閣に席を持つ正規の大臣」となったことは、フランスが女性の権利を扱う大規模な管理執行機関を創設した最初の近代国家となったことを意味します。

歴史の変遷

1974年: ヴァレリー・ジスカール・デスタン大統領がフランソワーズ・ジルーを首相直属の女性の地位担当副大臣に任命。
1976年: 女性の地位担当庁が廃止され、首相直属の女性の地位代表が置かれる。
1981年: フランソワ・ミッテラン大統領がイヴェット・ルーディを首相直属の女性権利担当大臣に任命。
1985年: ミッテラン政権が初の女性権利省を設置し、イヴェット・ルーディが女性権利大臣に就任。
1986年: ジャック・シラク首相（コアビタシオン）の下で女性権利省が廃止され、再び女性の地位代表が置かれる。その後、ミシェル・ロカール内閣で担当大臣または副大臣が復活。
1995年 – 2007年: シラク政権下では、パリテ・職業平等省が設置された2004年3月から2005年5月を除いて、女性政策に関する担当大臣または副大臣は存在しないか、労働省、経済省などの下に位置づけられる。
2007年 - 2012年: ニコラ・サルコジ政権下では、主に労働・社会関係・連帯省内の一組織として位置づけられ、担当大臣や副大臣は置かれず。
2012年: フランソワ・オランド大統領が26年ぶりに女性権利省を復活させ、ナジャット・ヴァロー＝ベルカセムが女性権利大臣に就任。
2014年: 第二次マニュエル・ヴァルス内閣で、パスカル・ボワタールが社会問題・厚生・女性権利省の下で女性権利副大臣に就任。
2016年: ローランス・ロシニョルが家族・児童・女性権利大臣に就任。
2017年: エマニュエル・マクロン大統領がマルレーヌ・シアパを女男平等担当副大臣に任命。その後、女男平等・差別対策担当副大臣に改称。

近年

近年では、2017年にエマニュエル・マクロンが大統領に就任すると、再び首相直属となり、マルレーヌ・シアパが女男平等担当副大臣に就任しました。2018年10月には女男平等・差別対策担当副大臣に改称され、より包括的な役割を担っています。

まとめ

フランスの女性権利大臣は、その時々の政権の政策や社会情勢によって、省の設置や担当者の変更を繰り返してきました。しかし、一貫して女性の地位向上と男女平等推進という重要な使命を担い、フランス社会におけるジェンダー平等の実現に貢献してきました。

参考資料
「諸外国における政策・方針決定過程への女性の参画に関する調査」第3章 フランス - 内閣府男女共同参画局

関連項目
男女同権
女性参政権
* ジェンダー

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