女番長ブルース 牝蜂の挑戦

女番長ブルース 牝蜂の挑戦

1972年に公開された『女番長ブルース 牝蜂の挑戦』は、鈴木則文が監督を務め、大型ポルノ女優として知られる池玲子が主演した日本映画です。本作は、同シリーズの第2弾として位置づけられています。物語は日本の古都である京都と、商業の中心地である大阪を主な舞台とし、二つの不良少女グループの激しい対立と、その抗争を自己の利益のために利用しようと画策するヤクザ組織、そして主要人物である不良少女のリーダー二名と一人の若者の間で繰り広げられる人間模様や愛憎劇が描かれています。また、作品の表現上の特徴として、一部にSMプレイを含む過激な描写が含まれている点も挙げられます。

物語のあらすじ

物語は、京都を拠点とする不良少女グループ「パール団」を率いるリーダー、真紀の日常から始まります。ある日、真紀たちは大阪を縄張りとする不良少女集団「くろゆり会」のリーダーであるユリたちと衝突し、両グループ間に深刻な対立が生じます。この抗争が激化しそうになった時、くろゆり会のメンバーでレーサーを志すユリの恋人、露木栄三が仲裁に入り、その場の争いは一旦収束します。パール団が地元の資産家から多額の金を騙し取った事実を知った地元のヤクザ組織「黒地組」の組長・黒地正義は、真紀たちの手腕に目をつけ、黒地組との提携を持ちかけますが、真紀たちはこれを拒否します。

パール団とくろゆり会の再びの衝突を目撃した黒地は、彼女たちの対立を組の資金稼ぎに利用できると考え、密かに両グループへの接近を試みます。真紀との一対一の対決（タイマン）に敗れたユリは、その夜栄三と口論になり別れてしまいます。失意のユリはバーで声をかけてきた黒地組の組員と関係を持ちます。組員の協力を得たユリは、黒地組にパール団の制圧を依頼し、くろゆり会のメンバーと共に黒地組の事務所を訪れますが、今度は組員たちから売春によって金を稼ぐよう脅迫される立場に追い込まれます。

真紀がいつしか栄三に惹かれ始めていた頃、パール団の一部のメンバーが独断で黒地組の車のトランクを持ち去ってしまいます。トランクの中に入っていたのは、黒地が密輸取引で売りさばこうとしていた拳銃でした。パール団の犯行を知った黒地は、組員を引き連れて彼女たちのアジトへ向かいます。黒地はトランクを取り戻しますが、取引の時間が迫っていたため、真紀を拘束し人質として、栄三を呼び出します。そして、拳銃と組員を車に乗せ、奈良での取引場所へ急行することを栄三に強要します。

栄三は猛スピードで車を運転し、パトカーの追跡を振り切り、何とか取引の時間に間に合わせますが、その頃真紀は黒地に激しく凌辱されていました。そこへ心境の変化を迎えたユリたちくろゆり会が現れ、真紀と協力して組事務所からの脱出を試みますが、組員の銃撃によりユリは命を落としてしまいます。奈良から戻ってきた栄三はユリの死を知り、深い悲しみと怒りからその夜、黒地組に殴り込みをかけますが、逆に返り討ちに遭い命を落とします。ユリと栄三の死に深い恨みを募らせた真紀は、パール団のメンバーに解散を告げた後、単身、黒地組への復讐へと向かう決意を固めるのでした。

主要な登場人物

真紀：池玲子が演じる、京都の不良少女グループ「パール団」のリーダー。鑑別所出の過去を持ち、「ズベ公」「ヤサグレ」と自称する。自由を重んじる性格で、メンバーの行動に干渉しない。早くに父親を亡くし、幼い頃に家を出た母親を憎む一方、母の写真を肌身離さず持つ複雑な内面を持つ。
ユリ：風間千代子が演じる、大阪のスケバングループ「くろゆり会」のリーダー。元は集団就職で上阪し電機工場で働いていた。栄三の前では純情な一面を見せるが、真紀との対決を経てヤクザと関わるようになる。
露木栄三：宮内洋が演じる、ユリの恋人。元愚連隊だが足を洗い、レーサーを夢見て整備工として働く。金も学歴もないが、強い意志を持つ。ユリを愛するが、物語の展開に翻弄される。
黒地正義：小池朝雄が演じる、ヤクザ組織「黒地組」の組長。表向きは黒地興業社長。不良娘たちを「牝犬」と呼び、利用することを企む。戦争で戸籍を失った過去を持ち、売春や密輸で巨万の富を得ようと野望を燃やす冷酷な男。
一郎：荒木一郎が演じる。真紀たちと組んで小遣い稼ぎをする世渡り上手な男。後に黒地組の下で若い女性の斡旋に関わるようになる。
玄海：由利徹が演じる、絶倫和尚として知られる住職。金にがめつく、スケベで不真面目な人物。黒地組とも通じている。
* 宮原明（神坂弘）：梅宮辰夫が演じる。栄三の兄貴分的存在で、自称「不良番長」。度胸があり、いざという時には頼りになる人物。

音楽

主題歌には、[鈴木則文]]作詞、鏑木創作曲、八田富子歌唱の「女番長]ブルース」が使用されています。また、挿入歌として、喬子がバーで歌うシーンに[[岸洋子の原曲で知られる「希望」（作詞：藤田敏雄、作曲：いずみたく）が用いられています。

本作は、スケバン映画というジャンルの中で、単なるアクションに留まらず、当時の社会の歪みや人間関係の暗部、そして利用される若者たちの悲劇を描き出した作品と言えます。過激な描写と相まって、強烈な印象を残す一篇です。

もう一度検索