好きさ

「好きさ」について

「好きさ」は、日本の人気ロックバンド・安全地帯が1986年にリリースした楽曲である。安全地帯の14枚目のシングルとして、12月3日にKitty Recordsから発売され、そのリリースから約2か月後に登場した。作詞は松井五郎、作曲は玉置浩二、編曲も安全地帯が手掛けている。楽曲全体を通じて、恋に悩む男のやるせない気持ちが表現されており、多くのファンに愛されている。

この曲は、3枚組のアルバム『安全地帯V』からの先行シングルとしてリリースされた。このアルバム自体は全36曲という大ボリュームであり、その中から選ばれた一曲が「好きさ」である。さらに、この曲はフジテレビ系アニメ『めぞん一刻』の3代目オープニングテーマとして使用され、安全地帯にとって唯一のアニソンとなった。

音楽性と歌詞

「好きさ」というタイトルは非常にシンプルであるが、その中には恋愛における複雑な感情が凝縮されている。玉置浩二のしっとりとしたボーカルが、恋する男の苦悩や葛藤をやさしく語りかけるように歌い上げる。楽曲の長さは3分弱と短いが、それにもかかわらず、聴く者に深い感情を伝える濃厚な世界観を楽しむことができる。

リリースとチャート成績

「好きさ」は1986年12月3日に7インチレコードとしてリリースされた。その後、1988年12月10日には8センチCDとして再リリースされ、世代を超えて聴かれる楽曲へと成長した。オリコンシングルチャートでは最高位4位を記録し、13週にわたりチャートインを果たし、売り上げ枚数は12.4万枚となった。安全地帯のシングル売上ランキングにおいては第9位に位置づけられる。

さらに、TBS系音楽番組『ザ・ベストテン』では1986年12月18日放送分で初登場し、第10位にランクイン。その後、1987年1月8日放送分では最高位である第8位を記録し、3週連続でベストテン入りを果たした。

ライブ・パフォーマンス

この楽曲は1986年12月5日放送のテレビ朝日系音楽番組『ミュージックステーション』でも披露されており、ファンに強い印象を与えた。1992年のアコースティック・コンサートツアーでのパフォーマンスでは、玉置が2番の歌詞の一部を激しくシャウトし、その様子は後にライブ・ビデオ『安全地帯アンプラグド・ライヴ!』に収録された。これ以降、ライブで「好きさ」を歌う際には、玉置のシャウトが定番化している。

メディアでの使用とカバー

この楽曲は他のアーティストによりカバーされることも多く、岡本雄希やパン・シエチン（潘協慶）、森川美穂などがそれぞれのスタイルでアレンジしたバージョンを制作している。また、アニメ『めぞん一刻』のキャラクターである六本木朱美によるカバーも存在し、その影響力は今なお色あせていない。

「好きさ」は、ただの楽曲としてだけではなく、リスナーの心に深く刻まれた思い出とも言える一曲である。それは、恋する気持ちの複雑さややるせなさを、巧みに表現した珠玉の作品であると言えるだろう。

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