如意輪寺 (徳島市)

如意輪寺の紹介

如意輪寺（にょいりんじ）は、徳島県徳島市多家良町に位置する高野山真言宗の寺院です。この寺は本尊の如意輪観音を祀っており、別名では「中津峰の観音さん」とも呼ばれています。中津峰山に建設されたことから、中津峰観音とも称されています。また、如意輪寺は新四国曼荼羅霊場の第81番札所であり、阿波秩父観音霊場の第1番札所としても知られています。さらに、阿波七福神霊場においては大黒天を祀っており、東山渓県立自然公園にも指定されています。

歴史

如意輪寺の創建されたいきさつは明確には定まっていませんが、1303年に作成された文書には「那賀山庄北俣那伊瀬権現託宣記」という記録が残っています。この文書は1416年に「勝浦庄内宮居内中津峯金剛峯寺」と名付けられ、その金剛峯寺が如意輪寺を指すものと考えられています。また、地域には空海に関する多くの伝説があります。空海は太龍寺山の舎心ヶ嶽や太龍寺から中津峰山に向かって北斗七星を見上げ、悪星が祈りで落ちたと伝承されています。中津峰山の南麓には、空海が封じ込めた悪星があるとされる星の岩屋（星谷寺）があります。

加えて、如意輪寺の境内には天津神社や三十八社大権現が祀られており、これらは地元の神々と九曜二十八宿の星々が合祀されています。このため、如意輪寺が位置する中津峰山は、古くから観音菩薩の住処である補陀落山とされ、観音の霊場としての歴史があります。

境内の構成

如意輪寺は、境内にいくつかの重要な構造物が存在します。山門（仁王門）は、寺へ向かう車道の脇に位置しており、最初に目にすることができます。続いて中門があり、本堂には四天王像が両脇に2体ずつ配置されています。本堂内には納経所も設けられています。

さらに、大師堂では大師像が拝観でき、不動堂では不動像が見られます。また、馬堂には馬の像やオイセさん像が祀られています。境内には立木観音もあり、中門に向かって左側の大木に1914年に横山天然居士によって彫られました。

アクセスは県道33号からガソリンスタンドの角を曲がり、中津峰山山頂に向けて約6キロ進むと仁王門が現れ、駐車場はその先に位置します。駐車後は石段を少し上り、中門を越えると、本堂の手前に本坊の丹精込めた段差があり、赤い橋を渡ると、見上げるような石段が続いています。最後には本堂、右手に不動堂、左手奥に大師堂があります。

文化財

如意輪寺には重要文化財が多数存在し、特に木造如意輪観音坐像は鎌倉時代に作られたもので、1911年に重要文化財に指定されています。さらには、徳島市指定の有形文化財として木造四天王立像と木造弘法大師坐像もあり、后者は2021年に指定されました。弘法大師坐像は、京仏師吉野右京の手によるもので、そのデザインは東寺の国宝弘法大師坐像を模刻したものです。

前後の札所

如意輪寺は新四国曼荼羅霊場においては80番の地蔵寺、82番の長谷寺との間に位置し、阿波秩父観音霊場においては竹林院との間に第1番札所としてその重要性が増しています。

交通

如意輪寺には、徳島自動車道の「徳島インターチェンジ」より車で約50分、JR「徳島駅」からは車で約40分でアクセス可能です。観光スポットとしても人気があり、多くの参拝者が訪れるこの寺院は、地域の歴史と文化が色濃く残る場所として知られています。

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