妙清

妙清

妙清（みょうせい、朝鮮語: 묘청、生年不詳 - 1135年）は、高麗王朝の中期に活動した僧侶であり、政治的な陰謀と反乱の中心人物として知られています。彼は仏門に入った後、名を浄心と改めたことでも伝えられています。

人物と朝廷への台頭

妙清は高麗の西京、現在の平壌にあたる地域で生まれ育ちました。彼は卓越した風水の知識を持ち、さらに天体の観測や吉凶の判断を行う日者であった白寿翰（ペク・スハン）の師であったとされます。妙清は白寿翰と共に、陰陽五行説や風水に基づく予言や進言を行うことで、当時の国王であった仁宗（インジョン）の信頼を得ることに成功しました。彼らは仁宗の側近となり、朝廷において無視できない影響力を持つようになります。

西京遷都論の提唱

当時の高麗の首都は開城（ケソン、上京とも呼ばれました）でしたが、しばしば天変地異が発生するなど、国情は不安定な様相を呈していました。妙清はこれを風水的な観点から分析し、現在の開城はもはや王都としてふさわしくない地であり、衰退を招くと主張しました。そして、自身の故郷である西京こそが新たな王都として最適な場所であり、そこに遷都すれば国は繁栄し、金（当時の東北アジアの強国）をも征服できるだろうと力強く提唱したのです。

この大胆な進言は、現状に不満を抱いていた仁宗の心を捉えました。仁宗は妙清の説を受け入れ、実際に西京へ行幸を行うほどでした。朝廷内でも、妙清の主張に賛同し、西京への遷都を支持する廷臣が増加し、一時は遷都が現実のものとなるかのような動きが進みました。

反対勢力との対立と反乱

しかし、妙清の急進的な改革案、特に西京への遷都は、開城を拠点とする保守的な貴族や官僚たちの強い反発を招きました。その中心となったのが、名高い学者であり、後に『三国史記』を編纂した金富軾（キム・ブシク）でした。金富軾らは、妙清の風水説に基づく主張を非科学的で危険な迷信であるとして退け、遷都に猛烈に反対するとともに、妙清とその一派を朝廷から排除しようと画策しました。この対立は激化し、高麗朝廷は妙清を支持する勢力と金富軾らに代表される反対勢力とに大きく分裂しました。

政治的な立場を追いつめられた妙清は、対立勢力に対する最終手段として武力蜂起を決断します。1135年、彼は西京を拠点として反乱を起こしました。反乱を起こした妙清らは、「大為（テウィ）」という新たな国号を定め、独自の年号を「天開（チョンゲ）」とするなど、開城の朝廷からの自立を宣言しました。事態を重大視した仁宗は、金富軾に反乱軍の討伐を命じました。金富軾率いる官軍は西京へと派遣され、反乱軍と激しい戦闘を繰り広げました。最終的に、妙清の反乱は官軍によって鎮圧され、妙清自身も命を落としたと伝えられています。

この「妙清の乱」は、高麗中期の政治的な混乱と、風水思想が国政に与えた影響を示す重要な事件として、その後の高麗の歴史に大きな影響を残しました。

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