妙覚寺 (長野県大桑村)

妙覚寺について

妙覚寺は、長野県木曽郡大桑村野尻にある臨済宗妙心寺派の寺院です。山号を法雲山と称し、木曽西国三十三観音霊場第二十四番札所、また木曽七福神霊場（大黒天）としても知られています。

歴史

妙覚寺の起源は、正安年間（1299～1301年）に天台宗の権大僧都であった快安が草庵を結んだことに始まると伝えられています。その後、元和年間（1615～1623年）には、開山の初屋の時代に蘭塔婆（現在の墓地近くの池のあたり）に位置していましたが、火災により古記録を含む全てを焼失しました。

寛永元年（1620年）に現在の場所へ再建され、享保5年（1720年）には定勝寺六世の弘道の弟子である秀峰祖闌によって再々中興開山されました。火災による焼失後、享保11年（1726年）に現在の本堂が再建されています。安政3年（1856年）には観音堂が再建され、如意輪観音が安置されました。その台座厨子には、延宝4年（1676年）に木戸彦左衛門金吾によって寄進された旨が記されています。

大正初期には水谷利三郎が山門前の石段を寄進し、大正10年（1921年）には野尻区から区有財産整理のため金一千円が寄附されました。この寄附を基に、檀家一同の喜捨により位牌堂が増築されました。昭和24年（1948年）には、柴山幸四郎をはじめとする檀家一同の寄附により、本堂の屋根が瓦葺きに改められました。昭和28年（1953年）には、太平洋戦争中に供出され失われていた梵鐘が檀家一同の寄附によって新鋳され、山門の大修理も行われました。昭和33～34年（1958年～1959年）には、檀家一同の寄附により庫裡の屋根が瓦葺きに改修されました。そして、平成30年（2018年）には、老朽化のため本堂が再建されました。

マリア観音

妙覚寺の裏庭には、天保3年（1832年）に作られたとされる、十字架を両手に高く掲げたマリア観音の石像があります。この像はもともと野尻川の向かい側にありましたが、昭和46年（1971年）に現在の場所に移されました。このマリア観音像は、キリスト教が禁じられていた時代に、信仰を守るために作られたものと考えられています。仏教寺院にキリスト教の要素が取り入れられているという、歴史的にも珍しい事例として注目されています。

寺宝

妙覚寺には、以下の貴重な寺宝が所蔵されています。

山水の図：中林竹洞筆
山水の図：田能村直入筆
達磨の図：白隠慧鶴筆
達磨の図：山岡鉄舟筆
十六羅漢の図：曽山筆
金屏風

また、古文書としては、学僧逗留の届（享保7年(1722年)）、本堂屋根葺替の届（寛延3年(1750年)）、年貢などに関する文書が残されています。

参考文献

『大桑村誌　下巻』第六編　現代の歩み　第二章　発展する大桑　五　教育・文化　(三)大桑村の寺院　3　妙覚寺　p777～p782　大桑村　昭和63年
『大桑村の歴史と民話』　第七章　大桑村の神社仏閣　第二節　仏閣　五、妙覚寺　p317～p330　志波英夫 1978年

妙覚寺は、長い歴史の中で幾多の困難を乗り越え、地域の人々の信仰を集めてきた寺院です。その歴史を物語る数々の寺宝やマリア観音像は、訪れる人々に深い感動を与えます。

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