姚嘉文

姚嘉文（よう かぶん、1938年6月15日 - ）は、台湾の政治家であり、考試院長や民主進歩党主席を歴任した人物です。その生涯は、台湾の民主化運動と密接に結びついています。

1957年、台湾省の公務員試験にトップで合格し、交通部電信総局（現在の中華電信）に入局しました。その後、台湾大学法学部などを卒業し、1966年には弁護士資格を取得しました。カリフォルニア大学バークレー校への留学を経て帰国した1973年には、林義雄や張徳銘と共に弁護士事務所「平民法律服務中心」を設立し、人々の法的支援に尽力しました。また、比較法学会の総幹事として、司法改革や法治主義の推進に積極的に取り組みました。

1975年、林義雄と郭雨新の訴訟を担当し、「党外大護法」という名誉称号を得ました。これは、当時の国民党政府に対抗する勢力として、彼の弁護士としての活動が注目されたことを意味します。1978年には「護法と変法」を出版し、国会の全面改選を訴え、民主的な政治改革の必要性を訴えました。同年開催された国民大会代表選挙に出馬しましたが、アメリカと中華民国との断交が決定した影響で、選挙は中止となりました。

1979年、台湾の民主化運動における重要な事件である美麗島事件で逮捕され、12年の懲役刑を受けました。しかし、1987年に仮出獄すると、同年12月には第2代民進党主席に就任し、政治の世界に復帰しました。1988年には、民進党主席として「台湾主権独立案」を採択し、台湾の独立を主張する重要な一歩を踏み出しました。翌1989年には、台湾新憲法の枠組みを提案するなど、台湾の政治体制の改革に貢献しました。また、この年には妻の周清玉が彰化県長に当選し、自身も県政府顧問に就任しました。

1992年の立法委員選挙では当選しましたが、1995年と1998年の選挙では落選し、政治的なキャリアは一時的に停滞しました。しかし、2000年に陳水扁が総統に就任すると、総統府資政に就任し、再び政治の中枢に関わることになりました。2002年から2008年まで考試院長を務め、公務員制度の改革や人材育成に尽力しました。

姚嘉文は、弁護士、政治家として、台湾の民主化と法治主義の確立に生涯を捧げた人物です。彼の活動は、台湾の現代政治史において重要な位置を占めています。彼の経験は、台湾の民主主義の発展における重要な教訓を与えてくれます。

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