姫路鉄道部

姫路鉄道部（ひめじてつどうぶ）は、西日本旅客鉄道（JR西日本）がかつて兵庫県姫路市に設置していた組織の一つです。地域密着型の鉄道運営を目指して導入された鉄道部制度のもと、1991年に誕生し、主に姫新線の一部区間と播但線の運行管理や車両・乗務員の配置を担当していました。

設立とその役割

JR西日本は、ローカル線の活性化とより効率的な運営体制を構築するため、1991年 4月1日から「鉄道部制度」を導入しました。この制度に基づき設立されたのが姫路鉄道部です。発足当時、当鉄道部は姫新線の姫路駅（駅構内を除く）から上月駅までの区間と、播但線の全線で運用される列車を担当しました。運転士もこの組織に所属し、実際の列車運行を担っていました。

当初、鉄道部の事務所は姫路駅構内に設けられていましたが、姫路駅周辺で行われていた連続立体交差事業の進捗に伴い、1994年 3月21日に姫新線の余部駅と太市駅の間に位置する飾西地区へと移転しました。

組織としては、設立から2010年11月30日までは神戸支社の管轄下に置かれており、所属車両を示す略号は「神ヒメ」（「神」は神戸支社を意味）でした。しかし、2010年12月1日の組織改正により近畿統括本部の管轄となり、略号も「近ヒメ」に変更されました。

車両基地の機能と移転

姫路鉄道部の車両基地は、事務所と同様に姫新線の余部駅 - 太市駅間に位置する飾西地区に設置されていました。この基地は、元々は姫路駅構内にありましたが、「JR山陽本線等連続立体交差事業」の一環として、より広大な現在地に移設されたものです。移設工事は1990年から1994年にかけて実施され、敷地面積は約27,900平方メートル、線路長は約695メートル、幅は約9メートルから94メートルにも及び、最大で36両の車両を留置できる規模となりました。基地への入出区は、姫新線上の余部信号場から行われていました。

所属車両が定期検査などで網干総合車両所や、時には後藤総合車両所へ出向く際は、通常は姫路駅を経由していました。しかし、姫路駅の高架化工事が進められていた2006年3月から完全に高架化が完了した2008年 12月22日までの期間は、迂回ルートが用いられました。具体的には、津山駅・岡山駅を経由する経路や、新見駅経由で後藤総合車両所へ入所する経路が使用されました。

配置されていた車両たち

姫路鉄道部には、その歴史の中で様々な形式の車両が配置されていました。廃止時点（2021年4月1日時点）で所属していたのは、姫新線などで活躍する以下の気動車です。

キハ127形気動車: 2両編成が6本、計12両が配置されていました。
キハ122形気動車: 1両編成が7本、計7両が配置されていました。

過去には、以下のような車両が姫路鉄道部に所属し、地域の輸送を支えました。

50系客車: 鉄道部発足時に姫路客車区から引き継がれました。播但線や姫新線で運用されましたが、1992年3月のダイヤ改正をもって運用を終え、廃車となりました。
12系1000番客車: こちらも姫路客車区からの引き継ぎ車両で、主に播但線で活躍しましたが、50系と同様に1992年3月のダイヤ改正で引退し、廃車されています。
キハ40・47形気動車: 姫路運転区から継承された気動車です。長年、姫新線を中心に運用されましたが、後継となるキハ122・127系の登場により、2009年3月13日をもって運用を終了しました。残存した車両は、2009年4月までに豊岡鉄道部など他の区所へ転属しました。
キハ28・58形気動車: 1991年から1992年にかけて、他の鉄道部で役目を終えた車両が改造を受けて転入しました。合計31両（キハ28形16両、キハ58形15両）が所属し、当初は元の塗色のままでしたが、最終的には朱色とオレンジ色の「姫路色」に統一されました。1998年3月の播但線電化（姫路〜寺前間）により大半が運用を失いましたが、6両が姫新線のラッシュ時運用に残りました。しかし、1999年10月のダイヤ改正でキハ40・47形に置き換えられ、同年12月に全車廃車となりました。

運転士の担当区間

姫路鉄道部に所属する運転士は、主に姫新線の姫路駅から上月駅までの区間における列車の運転業務を担当していました。

組織の再編と廃止

JR西日本における機構改革の一環として、姫路鉄道部は2021年7月に廃止されました。その機能は細分化され、新たに設けられた「ひめじ運転区」と「網干総合車両所余部派出所」へと引き継がれています。これは、鉄道部制度が段階的に見直される流れを受けた組織再編でした。

姫路鉄道部は、およそ30年間にわたり、姫路を中心とした地域の鉄道輸送、特に姫新線の運営において重要な役割を果たしました。

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