嬰ニ短調

嬰ニ短調は、西洋音楽における調の一つであり、嬰ニ（D♯）を主音とする短音階です。この調は、調号として6つのシャープ（F♯, C♯, G♯, D♯, A♯, E♯）を持ちます。理論上は存在するものの、実際には楽曲で使用されることは非常に稀です。

音階と和音

嬰ニ短調の音階は以下のようになります。

嬰ニ (D♯)
嬰ホ (E♯)
嬰ヘ (F♯)
嬰ト (G♯)
嬰イ (A♯)
ロ (B)
* 嬰ハ (C♯)

一般的に、これらの音の中には、臨時記号を用いて表記される音も存在します。嬰ニ短調の和音は、和声的短音階に基づいて構成されます。実際の楽譜においては、異名同音的にコードネームが変更されることもあります。

特徴

嬰ニ短調と変ホ短調は、12平均律においては異名同音の関係にあります。つまり、理論上は同じ音を指しますが、楽譜上での表現が異なります。調号もどちらも6つの変化記号を必要としますが、実際には変ホ短調の方が一般的に使用されます。その理由は、嬰ニ短調で導音（第7音）を表記する場合、嬰ハ（Cダブルシャープ）を使用する必要があり、記譜が複雑になるためです。音楽理論上、重嬰や重変といった臨時記号の使用は可能な限り避けることが望ましいとされています。

ただし、嬰ヘ短調や嬰ヘ長調への転調、あるいは嬰ハ短調からの転調がある場合など、特定の状況下においては嬰ニ短調が用いられることもあります。

嬰ニ短調の下属調に関していうと、変イ短調で記述すると、調号がフラット7つ必要になるため、導音がFダブルシャープにはなりますが、調号の少ない嬰ト短調で記述することが多いです。

嬰ニ短調の曲の例

嬰ニ短調で書かれた楽曲の例は、Category:嬰ニ短調を参照してください。しかし、この調で書かれた楽曲は非常に少ないのが現状です。

このように、嬰ニ短調は理論的には存在しますが、記譜の複雑さから実際にはほとんど使用されない調と言えます。音楽理論を学ぶ上では重要な知識ですが、実際の楽曲分析などで目にする機会は少ないでしょう。

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