子 ギャル

hideの生誕50周年を記念して2014年12月10日にリリースされたアルバム『子 ギャル』は、彼の音楽活動の軌跡を辿る上で非常に重要な作品です。本作には、新曲「子 ギャル」に加え、過去にリリースされたシングルのA面を飾った15曲のキラーチューンが収録されています。

特筆すべきは、新曲「子 ギャル」の制作背景です。この楽曲は、3rdアルバム『Ja,Zoo』の構想段階で収録予定だったものの、hideの急逝により未発表のまま残されたデモ音源を元に完成されました。hideの生前の歌声を1音1音抽出し、歌詞に合わせて繋ぎ合わせるという、まるでVOCALOIDのような技術が用いられています。さらに、未公表のボーカロイド技術も導入され、幻の曲として長らく語られていた「子 ギャル」が、ついに世に送り出されました。これにより、未発表の幻の曲は「ZOMBIE'S ROCK」のみとなりました。

アルバムの構成は、2002年に発売されたベストアルバム『hide SINGLES 〜Junk Story〜』から16トラック目の「COMMENT (Aug 10th,1995)」を除いた全曲を逆順で収録しており、ほぼ同内容となっています。しかし、hideの新たな息吹が吹き込まれた「子 ギャル」の存在は、ファンにとって大きな喜びとなったでしょう。

本作の初回限定盤には、「子 ギャル」のデモ音源がボーナストラックとして収録されている他、プロモーションビデオやNHKのTV番組「POP JAM」でのパフォーマンス映像を収めたDVDが付属しています。また、初回限定盤、通常盤共通で、「hide“スペシャル怪人カード”第7弾」がランダムで封入されており、コレクターズアイテムとしての魅力も兼ね備えています。

アルバム『子 ギャル』は、オリコン週間アルバムチャートで2位を獲得し、『hide SINGLES 〜Junk Story〜』以来、12年ぶりにトップ3入りを果たしました。これは、hideの音楽が時代を超えて愛され続けている証と言えるでしょう。

収録曲としては、「子 ギャル」の他に、「Junk Story」、「In Motion」、「TELL ME (hide with Spread Beaver)」、「HURRY GO ROUND」、「ever free」、「ピンク スパイダー」、「ROCKET DIVE」、「GOOD BYE」、「Hi-Ho」、「Beauty & Stupid」、「MISERY」、「TELL ME」、「DICE」、「50% & 50%」、「EYES LOVE YOU」が収録されています。ボーナストラックとして、「子 ギャル (demo)」も収録（初回限定盤のみ）。

「子 ギャル」は、hideの死後に行われたツアー『hide with Spread Beaver appear!! "1998 TRIBAL Ja Zoo"』で初披露されており、同ツアーのDVDにもボーナストラックとして収録されています。2024年には、ボックスセット『REPSYCLE』にリマスター版が収録され、ヴィジュアル系アーティストによるカバーも公開されました。歌詞にある「ゼリー」という言葉は、hideが主催した夏フェス「hide presents MIX LEMONed JELLY」を連想させ、音楽業界ではRCサクセションの忌野清志郎が使用していたステージネーム「ゼリー」との関連性も指摘されています。楽曲構成は、Aメロの古典的な進行から、少し緊張感の高まるBメロへと展開するスタイルとなっています。

アルバムのブックレット最終ページには、「Ja,Zoo is complete.」というメッセージと共に、hideの手書きによる『Ja,Zoo』のトラックリストが記載されています。これは、hideが最後まで完成させたかったアルバムへの想いを表していると言えるでしょう。

hideの音楽を愛するすべての人にとって、アルバム『子 ギャル』は、彼の創造性、革新性、そして音楽に対する情熱を改めて感じることができる、非常に価値のある作品です。

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