子宮内膜炎

子宮内膜炎とは、子宮の内膜組織に炎症が起こる疾患です。この病気は、その炎症の持続時間によって、急性子宮内膜炎と慢性子宮内膜炎の2種類に大別されます。

急性子宮内膜炎では、子宮内膜の腺や組織内に好中球と呼ばれる白血球が大量に集積し、炎症が進行します。顕微鏡レベルで見ると、微小膿瘍と呼ばれる小さな膿の塊が形成されている場合もあります。一方、慢性子宮内膜炎では、形質細胞と呼ばれる免疫細胞が子宮内膜の組織に多く見られます。この細胞の増加が、慢性の炎症反応を示唆しています。

子宮内膜炎の主な原因は、細菌などの微生物による感染です。出産時や人工妊娠中絶手術後などに、細菌が子宮内膜に侵入し、感染症を引き起こすことがよくあります。また、子宮内に留置された器具や、子宮内膜の損傷なども、感染リスクを高める要因となります。

子宮内膜炎の症状は、感染の重症度や原因菌の種類によって様々です。一般的な症状としては、下腹部の痛み、発熱、不正な膣出血やおりものなどが挙げられます。重症になると、敗血症などの全身性の感染症に発展する可能性もあります。

子宮内膜炎の診断には、病歴聴取、身体診察に加え、血液検査、超音波検査、子宮内膜の組織検査などが用いられます。血液検査では、白血球数の増加や炎症マーカーの上昇などを確認します。超音波検査では、子宮内膜の肥厚や炎症所見を調べます。また、子宮内膜組織を採取し、顕微鏡検査を行うことで、炎症の程度や原因菌を特定することができます。

子宮内膜炎の治療は、主に抗生物質による感染症治療が中心となります。原因菌を特定するために、培養検査を行う場合もあります。抗生物質の種類や投与期間は、感染の重症度や原因菌の種類によって医師が判断します。重症例では、入院して点滴による抗生物質治療が必要となることもあります。

帝王切開、妊娠中の長期の破水、長時間の膣内診などは、子宮内膜炎を発症するリスクを高める因子として知られています。これらの処置や状況下では、細菌感染のリスクが高まるため、細心の注意が必要です。

子宮内膜炎と関連性の高い疾患として、産褥熱が挙げられます。産褥熱とは、出産後に起こる子宮内膜炎の一種で、高熱や下腹部痛などの症状を伴います。出産後の女性は、子宮内膜炎のリスクが高いため、注意が必要です。

子宮内膜炎は、早期診断と適切な治療によって、多くの場合、完治が期待できます。しかし、放置すると、不妊症や骨盤癒着などの後遺症が残る可能性もあります。そのため、下腹部の痛みや発熱などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

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