子宮内避妊器具

子宮内避妊器具（IUD）について

子宮内避妊器具、通称IUD（Intrauterine Device）は、女性の子宮内に留置することで妊娠を防ぐための医療機器です。IUDは一度装着すると5年から10年にわたり、その避妊効果を持続させます。ホルモンを放出するタイプのIUDは、避妊効果だけでなく、月経困難症や月経過多の改善にも効果を発揮します。

歴史

IUDの起源は古く、紀元前4世紀の医師ヒポクラテスにさかのぼります。彼は動物の子宮に異物を入れることで避妊効果があることを発見したとされています。しかし、現代のIUDの発展は1928年にドイツのリヒャルト・リヒターによって始まり、以降、機能性や持続性が改良され続けています。

IUDの分類

IUDは大きく分けて2種類、すなわち化学的に不活性な銅タイプとホルモンを放出するタイプがあります。アメリカでは銅タイプの「パラガード」とホルモンタイプの「ミレーナ」が主に使用されています。イギリスでは銅タイプのIUDのみがIUDと呼ばれ、ホルモンを用いるものは「子宮内避妊システム（IUS）」と呼ばれています。これらの製品は、安全で効果的な避妊方法として広く利用されています。

有効性

銅タイプIUDの避妊失敗率は非常に低く、例えば、T380A型は12年間での失敗率が2.2%というデータもあります。また、ホルモンタイプのIUDは月経過多や月経困難症の治療にも用いられ、その効果が確認されています。ただし、IUDには性感染症の予防効果はないことが留意されるべきです。

使用方法

IUDは通常、外来で無麻酔で装着されます。装着のタイミングは月経開始後7日以内が最適とされており、設置には医療資格を持つ専門家の対応が必要です。IUDの留置は、妊娠を希望しない限り継続され、定期的な確認が推奨されています。

機序

IUDは子宮内に存在することで、異物への反応として白血球やプロスタグランジンが放出され、精子および受精卵に対して有害な環境を作り出します。銅タイプは特に精子を殺す効果があるため、避妊に非常に効果的です。

利用状況

世界中で約1.6億人の女性がIUDを使用しており、そのうちの約三分の二は中国の女性です。IUDは他の可逆的避妊方法よりも多く利用されています。

有害事象・副作用

IUDの主な有害事象には、IUDの滑脱や子宮穿孔、骨盤内炎症性疾患（PID）などがあります。副作用としては不正出血、下腹部痛、性交時の痛みなどが報告されています。特に、特定の金属に過敏な方には注意が必要です。また、IUDの使用は出産経験がない女性においてはリスクが高いとされています。

禁忌

IUDの挿入は以下のようなケースでは推奨されません：不明な異常性器出血がある場合、性感染症が疑われる場合、あるいは重大な内科的疾患が存在している場合です。

批判

IUDの効果は受精卵の着床を妨げる作用にも起因しているため、妊娠中絶に反対する意見を持つ人々から批判を受けています。こうした意見は、IUDの使用を妊娠中絶の一形態であると見なすものです。

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IUDは避妊に非常に有効な選択肢であり、その使用は多くの女性にとって有益です。しかし、使用する際は医療機関での相談や適切な情報を得ることが重要です。

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