子象物語 地上に降りた天使

子象物語 地上に降りた天使

『子象物語 地上に降りた天使』は、1986年に公開された東宝製作の日本映画です。戦時下の動物園を舞台に、子象と人々の交流、そして戦争の悲劇を描いた作品となっています。

あらすじ

昭和15年、東京富士見動物園でメスの象サクラがハナ子を出産します。ハナ子は愛くるしい姿で来園者、特に子供たちの人気を集め、動物園のアイドルとして成長していきます。しかし、時代は第二次世界大戦へと向かい、戦況が悪化するにつれて、動物園にも暗い影が忍び寄ります。

軍部は、敵の空襲によって動物が逃げ出し、市民に危害を加えることを恐れ、五大都市圏の動物園に対し、猛獣の殺処分を命令します。東京富士見動物園も例外ではなく、ハナ子も殺処分の対象となってしまいます。

飼育係の田辺正太は、ハナ子を助けるために奔走します。彼は、ハナ子を地方の動物園に疎開させることを考え、長野県の動物園に引き取りを依頼します。長野の動物園は快く引き受けてくれるものの、軍部は動物の移動を許可しません。苦肉の策として、田辺は軍に秘密裏にハナ子を疎開させる計画を立てます。

物語は、田辺と、軍の担当者である秋元圭司との葛藤を中心に展開します。実は、田辺と秋元は小学校の同級生でした。さらに、秋元の婚約者である木暮幸子は、ピアニストとして将来を嘱望されていましたが、軍によって音楽の道を閉ざされた過去を持っていました。それぞれの人物の苦悩が複雑に絡み合い、物語は感動的な結末へと向かいます。

製作スタッフ

監督： 木下亮
助監督： 三好邦夫
製作者： 大西良昌・新坂純一
脚本： 山田信夫
配給： 東宝（1986年）
撮影： 安藤庄平
美術： 村木与四郎
編集： 黒岩義民
録音： 近田進
スチル： 石月美徳
照明： 大澤暉男
音楽： 羽田健太郎
主題歌： 『地上に降りた天使』/水谷麻里
製作協力： 小学館、バンダイ、すかいらーく、東洋水産、かじやまグループ、日本生命、大井川鉄道

キャスト

田辺正太 （東京富士見動物園飼育係）/ 田辺太郎（現代編における正太の息子。同じく東京富士見動物園飼育係）： 武田鉄矢
木暮幸子（秋元の婚約者。ピアニスト）： 遥くらら
田辺節子（正太の妻）： 萩尾みどり
栗田麻里子（栗田園長の娘）： 水谷麻里
百代（正太の母）： 大山のぶ代
早川秀男： 河原崎長一郎
横山菊男（秋元のサイドカーの運転兵。陸軍軍曹）： 三上寛
大島源治： 石井章雄
斎藤清： 三谷昇
村上政弘： 神山繁
高橋彰一（東京富士見動物園園長）： 名古屋章
参謀総長： 目黒祐樹
栗田宏（長野動物園園長）： 大滝秀治
秋元圭司（東部軍参謀→松本歩兵第50連隊大隊長。陸軍少佐。）： 永島敏行

その他

1984年、この映画での象の出演依頼を受けた湘南動物プロダクション（現：市原ぞうの国）経営者の当時11歳だった息子・坂本哲夢がテレビ番組のタイアップもあり、この映画の象の出演に向けた象使い育成のため、タイの「チェンダーオゾウ訓練センター」に初の外国人訓練生として短期留学。翌年、本格的に修行留学を行い、日本人初の象使いとして撮影に臨みました。
坂本哲夢は後に交通事故で亡くなりましたが、彼の人生は『星になった少年』として映画化されています。
象を輸送するシーンは、静岡県の大井川鐵道の全面的な協力のもとで撮影されました。

関連作品

かわいそうなぞう

外部リンク

子象物語 地上に降りた天使 - allcinema
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