孝成王 (趙)

孝成王：趙の暗君

孝成王（こうせいおう）は、中国戦国時代における趙の第8代君主であり、紀元前265年から紀元前245年までその地位にありました。彼の姓は嬴、氏は趙、名は丹であり、恵文王の息子であります。その治世の中で、彼は国の滅亡に関与した暗君として名を残しています。特に、長平の戦いにおいて彼の将軍人事が重大な要因となり、国勢を大きく傾かせました。

生涯の概要

孝成王の治世において、趙は隣国秦の脅威に常にさらされていました。特に紀元前262年には、秦が侵攻を行い、韓本土と上党を分断する事態に至ります。この時、上党の守であった馮亭は趙に降伏し、戦争への巻き込まれることを計画しました。王は、平陽君の反対を押し切り、平原君の意見を取り入れて上党を接収しました。この結果、秦との間で長平の戦いが勃発することになります。

その際、趙軍は名将廉頗によって指揮され、秦軍の遠征軍の疲弊を待ち、持久戦に挑むことに決めました。しかし、孝成王は紀元前260年に、秦側からの流言にはまってしまい、廉頗に代えて趙括を将軍に任命するという極めて不適切な選択をしました。これは、先王の時代に対秦外交で活躍した藺相如や、趙括の母親からの強い反対にも関わらず、王の決断がなされた結果でした。

長平の戦いと悲劇の展開

孝成王のこの判断は悲劇を招きました。趙括は戦術において経験が乏しく、秦軍の将軍白起に苦しめられ、多くの趙軍が大敗を喫しました。戦闘の結果、趙括は戦死し、補給物資が途絶えて餓死する者や、仲間の兵士同士での食糧争奪、そして投降者は生き埋めにされるという恐ろしい状況が展開しました。結局、40万人以上の趙軍が壊滅し、少年兵の240人を除いて大半が命を落としました。

最期とその後

暦の進んだ紀元前245年、孝成王はこの世を去ります。彼の死後、将軍の廉頗や楽乗は他国へ亡命し、王の後を継いだ息子、悼襄王は新たに李牧と龐煖を起用しました。孝成王の名は、その残虐な戦略によって中国史に強く刻まれ、彼の統治の失敗は後世にわたって教訓として語られることになるのです。国の運命を決定づけたこの悲劇は、熟慮の足りない人事がどれほど影響を持つかを示しています。

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