李牧

李牧の略歴と功績

李牧（りぼく）は、中国戦国時代の趙の武将であり、生年は不明だが紀元前229年に亡くなった。彼の名は繓（さつ）で、字は牧。白起、王翦、廉頗と並んで「戦国四大名将」の一人と称されており、司馬遷の著書『史記』の中で「守戦の名将」と評された。

幼少期・軍歴の始まり

李牧は、趙の北方にある代郡と雁門郡に駐屯して国境警備を担当していた。彼は国境防衛の責任者として、独自の軍政を行っており、匈奴の侵攻に対する備えに力を注いでいた。その際、烽火台を設置し、間諜を放って警戒に努めた結果、匈奴の攻撃に対しても大きな損失を被ることなく防衛を成功させる。

匈奴との戦い

匈奴の攻撃が続く中、李牧は「侵略があったら籠城し、無駄に討って出る者は処罰する」と命じたが、その慎重さは彼の部下や趙兵の間で臆病と受け取られることもあった。趙王は李牧の戦略に不満を抱き、任を解くが、後任者が匈奴に損害を受けたため、李牧が再び呼び戻された。そこで李牧は、匈奴を巧妙に欺く戦術で十余万の騎兵を討ち破るという大勝を収める。

秦との戦争

紀元前243年、趙の悼襄王の命により李牧は燕を討たしめ、続けて秦軍を破る。彼の活躍は続き、紀元前233年に大将軍として中央に呼び戻される。李牧は、秦軍の攻撃を何度も撃退し、肥下の戦いや番吾の戦いでも多くの勝利を収める。これにより、李牧は武安君の位を賜ることとなった。

ズサンな外交と内乱

しかし、趙は次第に衰退し、また内部分裂が進む。藺相如や廉頗の死、さらに趙王の不安から、対秦戦が続く中で李牧の軍事的地位も危うくなっていく。最終的には、王翦が指揮する秦軍の侵攻に直面することとなる。

あまりにも決定的な裏切り

紀元前229年、李牧は自身を恐れる幽繆王によって讒言により捕らえられ、密かに処刑されてしまった。彼の死は趙にとって大きな損失であり、すぐに彼の指導を受けた部隊も苦戦するようになる。その後、趙は多くの兵士を失い、秦によって陥落する運命を辿る。

家族・系譜

李牧の家族には、祖父の李曇、父の李璣、兄弟の李雲、李斉、そして子どもたちの李汨・李弘・李鮮がいる。孫にあたる李諒・李左車・李仲車も有名であった。

李牧の存在は、それ以降の中国歴史に大きな影響を与え、彼の戦術や指導力は後世に語り継がれることとなった。

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