孝昭王

孝昭王（こうしょうおう）

孝昭王（687年 - 702年）は、新羅の第32代の王であり、692年から702年まで在位しました。姓は金、諱は理洪（または理恭）。先代の神文王の長子として生まれ、母は金欽運の娘である神穆王后です。691年に太子に立てられ、翌年、神文王の崩御を受けてわずか5歳で王位を継承しました。

治世

幼くして即位した孝昭王ですが、摂政が置かれた記録はありません。即位時、唐の武則天から＜輔国大将軍・行左豹韜尉大将軍・鶏林州都督・新羅王＞に冊封され、唐との関係改善に努めました。699年には唐への朝貢を再開し、三国統一後に緊張していた両国の関係は緩和に向かいました。698年には、日本からの使者を崇礼殿で引見したと伝えられています。

国内政策

国内政策においては、官制の変更を行いました。孝昭王の諱である「理洪」を避けるため、立法を管轄する理方府を議方府と改称しました。また、695年には王都金城（現在の慶州市）において、既存の東市に加え、西市・南市を新たに創設し、市場を管理する西市典・南市典を増設しました。これにより、商業の活性化を図ったと考えられます。

暦法の変更も試みられました。孝昭王紀によると、695年には子の月（陰暦11月）を、700年には寅の月（夏王朝で正月とされた陰暦1月）をそれぞれ正月とすることが検討されました。しかし、当時の唐の暦法（麟徳暦）との関係など、詳細は明らかになっていません。

孝昭王は、在位11年にして702年7月に死去し、孝昭と諡されました。遺体は望徳寺の東に埋葬され、その王陵は現在の慶州市朝陽洞にある史跡第184号に比定されています。

孝昭王の死に際し、唐の武則天は王のために葬儀を行い、2日間政務を執らなかったとされています。これは、唐が孝昭王をいかに重視していたかを示すエピソードと言えるでしょう。

孝昭王の治世は、唐との関係改善、国内市場の拡大、暦法の変更など、多岐にわたる政策によって特徴づけられます。幼いながらも王としての責務を果たし、新羅の発展に貢献した人物として評価されています。



参考文献：
『三国史記』第1巻 金富軾撰 井上秀雄訳注、平凡社〈東洋文庫372〉、1980 ISBN 4-582-80372-5
『三国史記』第3巻 金富軾撰 井上秀雄訳注、平凡社〈東洋文庫454〉、1986 ISBN 4-582-80454-3
井上秀雄『古代朝鮮』、日本放送出版協会〈NHKブックス172〉、1972 ISBN 4-14-001172-6

外部リンク：
慶州市公式サイト#文化遺産（国会指定文化財-史跡）

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