孟善

孟善（もう ぜん）は、生年不詳ながら1412年に没した、元末から明初にかけて活躍した軍人です。彼の本貫は恵州海豊県にあり、その生涯は激動の時代を映し出しています。

元朝での初期

孟善は、元朝に仕官し、山東枢密院同僉という役職に就いていました。この頃の彼の活動は、元朝の官僚としての側面が強かったと考えられます。

明朝への帰順と活躍

洪武帝の時代に入ると、孟善は明朝に帰順します。これは、元朝の衰退と明朝の台頭という時代の大きな流れに対応したものでした。徐達の北伐に従軍し、定遠衛百戸に任じられたことで、彼は明朝の軍人としてのキャリアをスタートさせました。1381年（洪武14年）には、傅友徳に従い雲南遠征に参加し、燕山中護衛千戸に昇進。この遠征での活躍が、彼の軍人としての地位を確固たるものにしました。

靖難の変での功績

1399年（建文元年）に靖難の変が勃発すると、孟善は燕王朱棣（後の永楽帝）の挙兵に呼応しました。松亭関の攻略や白溝河での戦いでの功績は、彼が優れた軍事指揮官であることを示しています。特に、保定の守備は彼の軍人としての評価を決定的なものとしました。建文帝側の数万の大軍に対し、わずか数千の兵で城を守り抜いたのです。この功績により、彼は右軍都督同知に累進し、保定侯に封じられ、1200石の禄を与えられました。

遼東駐屯と晩年

1403年（永楽元年）、孟善は遼東に駐屯します。これは、明朝の北方防衛における重要な役割を担ったことを意味します。1409年（永楽7年）には、北京に召還されましたが、その時、彼の眉が白くなっていたことから、永楽帝は彼に致仕を命じました。1412年（永楽10年）6月、彼はこの世を去り、その功績を讃えられ滕国公を追封され、忠勇という諡号が贈られました。

子孫

孟善の死後、子の孟瑛が跡を継ぎました。孟瑛もまた軍人として活躍し、左軍を率いて二度の漠北遠征に従軍しました。また、糧食の輸送を監督するなど、後方支援でも重要な役割を果たしました。しかし、洪熙帝の時代に、孟瑛は庶兄の孟賢が起こした事件に連座し、爵位を剥奪され雲南に流されてしまいます。その後、1431年（宣徳6年）に釈放され、宣府で事官となります。1435年（宣徳10年）、英宗が即位すると、京衛指揮使に任じられましたが、程なく死去しました。

まとめ

孟善は、元末明初という激動の時代を生き抜き、軍人として数々の功績を挙げました。彼の生涯は、時代の変遷とともに変化し、その中で彼は常に最善を尽くした人物と言えるでしょう。彼の行動は、単なる一軍人としての枠を超え、明朝初期の歴史において重要な役割を果たしました。また、彼の息子である孟瑛の波乱に満ちた人生も、この時代を象徴するものと言えるでしょう。

参考文献

『明史』巻146 列伝第34

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