紀元前279年

紀元前279年は、共和政ローマにおいてプブリウス・スルピキウス・サウェッリオとプブリウス・デキウス・ムスが執政官に就任した年として記録されています。また、ローマ建国紀元475年とも呼ばれます。中世初期に西暦が普及するまでは、このように執政官の名前やローマ建国からの年数で記録されていましたが、現在では紀元前279年と表記するのが一般的です。

この年は、様々な地域で重要な出来事が起こりました。

ギリシア

ガリア人の侵入がギリシアを襲いました。ブレンヌス率いるガリア軍は、マケドニア王国を攻撃し、プトレマイオス・ケラウノス王を討ち取りました。テルモピュレでは、ガリア軍はフォキスとアエトリアの連合軍の抵抗に遭い、大きな損害を出しました。最終的にガリア軍はデルフォイに追い込まれ、ブレンヌスは戦闘で負傷し死亡、撤退を余儀なくされました。生き残ったガリア兵の一部は小アジアに定住し、ガラテア人となり、また一部はトラキアに定住し、ティリスという都市を築きました。

マケドニア王国では、プトレマイオス・ケラウノス王の死後、前王アンティパトロス2世が復位しましたが、すぐに甥のソステネスによって殺害され、ソステネスが新しい王となりました。また、フォキアはデルフォイ防衛に参加したことで、隣保同盟に復帰しました。

共和政ローマ

共和政ローマはカルタゴと同盟を結び、共通の敵に対抗することになりました。エピロス王ピュロスとの戦いで、カルタゴはローマに資金と艦隊を提供しました。しかし、ピュロスはローマを征服できないことを悟り、和平を提案しました。ローマは、シネアスが持ちかけた条件を拒否し、再び戦争が始まりました。アスクルムの戦いでは、ピュロスが勝利しましたが、大きな犠牲を伴いました。後にピュロスは「もう一度ローマ軍に勝利したら、我々は滅亡するだろう」と語ったとされています。

エジプト

プトレマイオス2世は、小アジア南西部を侵略し続け、アンティオコス1世との間で緊張が高まりました。

バルカン

スコルディスキは、現在のベオグラードにあたるシンギドンという都市を築きました。

中国

中国では、秦が楚を攻撃し、鄢・鄧・西陵を奪いました。秦の昭襄王と趙の恵文王が会談し、燕では昭王が死去し、恵王が即位しました。燕の楽毅は、恵王との関係が悪化し、斉の田単の策略によって趙に亡命しました。一方、斉では田単が火牛の計を用いて燕軍を撃破し、斉の旧領を回復させ、宰相となりました。

この年には、他にも様々な出来事が起こり、各地域で重要な転換期となりました。特に、ギリシアにおけるガリア人の侵入と、ローマとピュロスの戦いは、後の歴史に大きな影響を与えました。

以下に、この年の主な出来事をまとめます。

ギリシア:
ガリア人による侵入、プトレマイオス・ケラウノスの死
アンティパトロス2世の復位とソステネスによる殺害
共和政ローマ:
カルタゴとの同盟
ピュロスとの戦い、アスクルムの戦い
エジプト:
プトレマイオス2世による小アジア侵攻
バルカン:
スコルディスキによるシンギドンの建設
中国:
秦による楚の攻撃
秦と趙の会談
燕の昭王の死と恵王の即位
* 斉の田単による燕軍撃破と旧領回復

この年は、各地域で多くの変動と戦乱があり、その後の歴史に大きな影響を与えた重要な年であったと言えるでしょう。

もう一度検索