季禄

季禄（きろく）についての詳細

概要

季禄とは、律令制の時代に制定された官人に対する俸禄の一種であり、在京の職事官や大宰府および壱岐・対馬の官人に対して支給される制度でした。この制度は、唐の在京官人に対する品位に応じた粟や米の支給制度をモデルにしていますが、日本においては、主に絁（あしぎぬ）、綿（真綿）、布（麻布）、鍬（くわ）/鉄の4種類の品目が年2回支給される形をとっていました。

支給の仕組み

季禄は、毎年2月に春夏禄、8月に秋冬禄として提供され、各官人にはその官職に応じた官位に基づいて支給されます。重要な点は、支給を受けるには前年度の半年間に120日以上勤務している必要があり、実際に官人が持つ位階ではなく、就いている官職の官位に応じた額が支給されることです。これはつまり、現役の官職に基づいた評価であったことを示しています。

職事官だけでなく、内舎人や兵衛、別勅才伎、さらには宮人にも支給されています。宮人に関しては、准位という基準が設けられ、はっきりとした区分が存在しました。また、家令と呼ばれる一部の官人は、一般的には1階下の地位に相当する量が受領される形が取られました。

支給される品目とその背景

季禄で支給された品目は、主に繊維製品や鉄であり、これには日本の経済制度や文化的な背景が大きく影響しています。日本では、貨幣経済の発展の影響を受け、一時期銅銭も支給された時期があるものの、基本的には物品としてしっかりとした価値を持つものが選ばれていました。このことから、古代大和王権の威信や、官人が自分の田を耕作するという理念も窺えます。

日本における季禄も唐の制度の影響を受けていますが、代表的な特徴として、官位を重ねるごとに支給量が大幅に増加する点があります。具体的には、従三位以上の貴族や公卿において、その年での支給額は非常に大きく変わり、特に従一位に至っては他の位階に比べて37.47倍にもなります。このような傾向は、階級性を一層強調する制度であったことを意味しています。

時代の変遷と課題

しかし、平安時代に入ると、庸や調の未進が増加し、季禄の支給状況は次第に厳しくなりました。914年には三善清行が提出した意見では、季禄の支給が6年に1度と記載されており、制度の維持が困難であることを示しています。このように、季禄は当初は官人に福利をもたらす重要な制度でしたが、時代の流れに応じてその支給は次第に厳格になり、課題が浮上してきました。

結論

季禄は、日本の官人に対し特定の品目を年に数回支給する制度であり、その背景には唐の制度や古代日本の経済観念が存在しました。制度の変遷を通じて、支給内容や方式が導入され、また時代の影響を受けて変化していった点も見逃せません。現在では、この制度の存在が古代日本の官人生活や経済基盤を考える上で重要な要素となっています。

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