学館院

学館院（がっかんいん）

学館院は、平安時代に存在した大学寮に付属する大学別曹の一つです。『日本文徳天皇実録』には「学宦院」、『伊呂波字類抄』には「学官院」とも記されています。

学館院は、承和14年（847年）に嵯峨天皇の太皇太后である橘嘉智子と、右大臣である橘氏公によって平安京の右京二条西大宮大路に創建されました。康保元年（964年）には大学別曹として公認されました。

当時、大学寮は貴族の子弟の教育機関として機能していましたが、各氏族が独自の教育機関を設ける動きが活発化していました。その中で、橘氏が氏族の子弟のために設立したのが学館院です。

しかし、学館院は元々財政基盤が脆弱であり、さらに橘氏の没落によって衰退していきました。橘氏と縁戚関係にあった藤原氏が是定として相続しましたが、12世紀には既に荒廃していました。しかし、学館院に付属する荘園群や地方官への推薦権（年挙）は中世まで残り、学館院別当の称号も名誉職として残りました。

大学別曹とは、大学寮に付属する私設の教育機関であり、貴族や有力寺院が設立しました。大学寮の教育を補完する役割を担い、各氏族や寺院の子弟の教育を行いました。学館院の他にも、勧学院（藤原氏）、弘文院（和気氏）などが知られています。

学館院は、橘氏の子弟の教育機関として、儒学や文学などを教授しました。また、地方官への推薦権を通じて、橘氏の勢力拡大にも貢献しました。しかし、橘氏の衰退とともにその役割を終え、歴史の中に埋もれていきました。

現在、学館院の跡地には石碑が建てられており、その存在を伝えています。また、学館院に関する資料は、大学や図書館などに所蔵されており、研究対象となっています。