孫悟空 (1940年の映画)

映画『孫悟空』の概要

『孫悟空』は、1940年に公開された日本映画で、山本嘉次郎が監督を務めました。この作品は、前編と後編の2部作から成り、両方が1940年11月6日に同時に公開されました。通称は『エノケンの孫悟空』であり、ミュージカル喜劇としての要素が強い作品です。

特徴的な演出

本作の独特な点は、従来のエノケン映画と同様にミュージカル要素が色濃く反映されていることに加え、筋斗雲を戦闘機のように演出したり、金角と銀角が科学的な要塞を使用するなど、SF的なアプローチが見受けられます。そのため、単なるファンタジーの枠に留まらず、未来的な要素を取り入れた作品として楽しむことができます。

特撮の分野では、円谷英二が関与しており、ミニチュア操演やスクリーンプロセス、マットアートなど、後の円谷特撮に見られる技術を早くも導入しています。これにより、映像表現に革新をもたらし、観客に印象的なシーンを提供しました。

音楽の役割

音楽面でも新しい試みがあり、本作ではジャズやスタンダードなどの音楽スタイルが採用されています。これにより、視覚的にも聴覚的にも豊かな体験を提供し、当時の映画界においても斬新な作品として位置付けられています。

キャスト

主要キャストには、榎本健一が孫悟空を演じ、岸井明が猪八戒、金井俊夫が沙悟浄、柳田貞一が三蔵法師、北村武夫が太宗王などといった個性豊かな役者たちが名を連ねています。各キャラクターが物語を彩り、観客を引き込む魅力を持っています。また、特別出演として益田隆も参加し、様々なキャストが一堂に会することで、作品全体の厚みが増しています。

受け継がれる影響

戦後、山本監督と円谷は、再び『西遊記』を題材にしたミュージカル映画『孫悟空』（1959年）を制作しています。この新作には、オペレッタ的な要素など、元の作品を彷彿とさせる部分が多く見られ、当時の観客にとっても、作品が持つ魅力は引き継がれています。

映像ソフトの展開

『孫悟空』はビデオソフト（VHS）としてもリリースされましたが、その後絶版となりました。2020年1月14日には、DVDマガジン「黒澤明DVDコレクション」（第53巻）にて初めてDVD化され、より多くのファンにそのエンターテインメントを提供しています。

参考情報

この映画は特撮や音楽など、様々な技術の進化を見せる先駆的な作品でした。また、『東宝特撮映画全史』や『円谷英二特撮世界』などの文献でもその価値が評価されています。映画の詳細に関しては、国立映画アーカイブでも情報が提供されています。

『孫悟空』はただのエンターテインメントではなく、技術や音楽においても重要な位置を占める作品として、今でも多くの人に愛され続けています。

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