岸井明

岸井 明 - 日本のコメディアン・俳優・歌手

岸井明（きしい あきら）は、1910年10月13日に東京で生まれ、日本のエンターテインメント界で幅広く活躍したコメディアン、俳優、歌手です。彼は1910年代から1960年代にかけての日本の造形と文化の変革期において、その才能を発揮しました。特に映画やテレビ、そして音楽において多大な影響を与えた存在です。

生い立ちと初期の経歴

岸井明は、弁護士の父親、岸井辰雄の次男として、東京府京橋区新富町にて誕生しました。父は深谷市出身で、明治法律学校を卒業後、東京で弁護士として成功を収めた人物です。岸井は青山学院中等部や日本大学相撲部を経て、1930年に日活京都撮影所に入り、劇団「笑の王国」を主宰していくつかの舞台に立ちました。

1935年には、古川ロッパと組み、映画や喜劇に出演し始めます。この頃から、彼のキャリアは本格化し、観客からの支持を得るようになりました。特に、「ダイナ」や「タバコやの娘」といった楽曲を通じて、彼は歌う映画スターとしても名を馳せました。

戦後の活動とテレビ出演

第二次世界大戦後の日本では、岸井は森川信との一座を組み、黎明期のテレビ番組に出演する傍ら、映画でも活躍しました。1960年にはNHK紅白歌合戦にも出場し、名実共に日本のエンターテインメント界の一員として確固たる地位を築きました。特に、彼が出演した時代劇大作『大菩薩峠』などは、その幅広い演技力を示すものでした。

私生活と家族

岸井の妻、初霜菊子（旧姓：勝間田綾子）は、宝塚歌劇団23期生として知られ、後に岸井あや子と改名後は女優としても活動しました。また、彼の実兄である岸井良衛は劇作家や演出家としても知られる重要な人物であり、家族には多彩な才能を持つ構成員が揃っていました。さらに、妻の甥にはアニメーション監督の勝間田具治が登場するなど、岸井家は多くの文化人を輩出しています。

晩年と死去

岸井は1960年代に入り、フリーの俳優としてスタートしましたが、1960年に眼底出血で倒れてしまい、三年後には芸能界を引退します。1965年、54歳という若さで心臓衰弱が原因でこの世を去りました。彼の死は多くのファンにとって衝撃的な出来事であり、彼が映し出した笑顔や個性的なキャラクターは今も人々の心に残り続けています。

主な出演作品

岸井明は多くの映画やテレビドラマに出演しました。映画の代表作には、P.C.L.の「唄の世の中」、東宝の「瞼の母」や「忠臣蔵」、新[[東宝]]の「銀座カンカン娘」などがあります。また、テレビドラマでは「水道完備ガス見込」にて主要キャストを務め、彼の存在感を示しました。彼の音楽活動も忘れてはならず、特に「タバコやの娘」のような楽曲は日本の歌謡界に名を刻んでいます。

岸井明の生涯は、日本のコメディや演劇の発展を象徴するものであり、彼の業績は今日に至るまで多くの後進に影響を与えています。

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