孫慶

孫慶（そん けい）

孫慶（生没年不詳）は、金朝末期からモンゴル帝国初期にかけて活躍した人物で、字は伯善、済南府の出身です。父は孫栄。

『元史』には立伝されていませんが、『遺山先生文集』巻30の宣武将軍孫君墓碑にその事績が記されており、『新元史』には宣武将軍孫君墓碑を元にした列伝が記されています。

生涯

孫慶は代々済南に住まう一族の出身でしたが、曾祖父・祖父ともに官には仕えていませんでした。幼い頃から器量を見込まれており、成長すると東平を拠点とする軍閥の厳実に仕え、その配下となりました。厳実が50余りの城を攻略するのに従い、数々の功績を挙げたとされています。

当時、大名に拠る彭義斌は南宋を主君として勢力を拡大しており、一時は厳実もこれに降りましたが、密かにモンゴルに救援を要請していました。厳実からの報告を受けたモンゴル軍は、数千の騎兵を率いて賛皇の西で彭義斌を捕捉しましたが、両軍の兵力は拮抗していました。そこで孫慶は厳実に対し、直ちにモンゴル軍に合流して彭義斌を打倒すべきと献策し、厳実もこれに従いました。その結果、彭義斌を打ち破り、捕虜とすることに成功しました。この功績により、孫慶は忠武校尉・済南府軍資庫使に任じられ、更に行尚書省応辦使に改められています。

1232年（壬辰）には、武略将軍・威捷軍都指揮使・兼巡捕事の地位に移り、更に宣武将軍に昇格しました。1239年（己亥）には本路鎮撫軍民副弾圧・兼行東平府録事に任じられましたが、ある時、孫慶は突如として官を辞しました。しかし、孫慶の功績を高く評価していた厳実は、再び孫慶を官職に復帰させ、都指揮使の地位を授けました。その後、間もなく孫慶は病に倒れ、年月日は不明ですが57歳で自宅にて亡くなりました。

参考文献

『新元史』巻137列伝34孫慶伝
『遺山先生文集』巻30宣武将軍孫君墓碑

もう一度検索