孫桓

孫桓（そん かん）

孫桓（198年 - 223年）は、後漢末期から三国時代の呉に仕えた人物で、呉の宗室の一人です。字は叔武（しゅくぶ）。父は孫河で、兄に孫助・孫誼、弟に孫俊、従兄弟に孫韶、甥に孫建・孫慎、従孫に孫拯がいます。彼の生涯は『三国志』呉志「宗室伝」に記述されています。

生涯

孫桓の父である孫河は、孫策に気に入られて孫姓を与えられ、皇族として迎えられたとも、元々孫姓であったが兪家の養子となった後、孫姓に戻すことを許されたとも伝えられています。

兄の孫助と孫誼は県長を務めましたが、若くして亡くなりました。孫桓は華容における関羽討伐に従軍し、関羽軍の残党を説得して5千人を帰順させ、牛馬や武具を多数鹵獲する功績を挙げました（『呉書』）。

25歳の時に安東中郎将に任じられ、陸遜と共に蜀漢の劉備の侵攻を防ぐことになります。夷道では蜀軍に包囲され、劉備の大軍が山や谷を埋め尽くすほどの状況でしたが、孫桓は自ら投刀を手に取り、命を惜しまず奮戦し、劉備軍を撃退しました（夷陵の戦い）。彼は益州へ通じる道を遮断し、要所に軍を配置しました。劉備はかつて呉を訪れた際、京城で孫桓と対面したことがあり、窮地を脱した後、「私が呉に身を寄せた時、まだ子供に過ぎなかった孫桓に、これほどまでに追い詰められるとは」と嘆いたと伝えられています。夷陵の戦いの後、建武将軍・丹徒侯に封じられました。その後、牛渚督に任じられましたが、横江塢を築いている最中に急死しました。

人物・評価

孫桓は弓馬に優れており、容姿端麗で頭脳明晰、博識であり、議論にも秀でていたとされています。孫権は孫桓を「皇族における顔淵である」と褒め称え、武衛都尉に抜擢しました。

三国志演義

小説『三国志演義』では、夷陵の戦いで朱然と共に劉備迎撃の任務を任される場面で登場します。配下には李異・謝旌・譚雄といった猛将がいましたが、彼らは緒戦で関興と張苞に破られてしまいます。その後、陸遜が大都督として出陣し劉備を撃退するまで、夷陵城で防戦を続けることになります。朱然とは異なり、戦死する設定ではありません。

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