孫韶

孫韶（そん しょう）

孫韶（180年? - 241年）は、後漢末期から三国時代の呉に仕えた武将であり、孫一族の重要な一員でした。字は公礼（こうれい）。孫策と孫権の甥にあたり、その軍事的才能と冷静な性格で知られています。

生涯

孫韶は、叔父である孫河の死後、17歳という若さで家督を継ぎました。当時、丹陽で反乱が発生し、孫河が殺害されたため、孫韶は軍勢を率いて事態の収拾に当たりました。京城の守りを固め、敵の侵攻に備えるなど、若くして優れた指揮能力を発揮しました。孫権は孫韶の働きぶりを高く評価し、承烈校尉に任命し、孫河の部隊を引き継がせました。また、曲阿と丹徒の二県を奉邑として与え、孫河と同等の権限を与えました。その後、広陵太守・偏将軍を歴任し、孫権が呉王となると、揚威将軍に昇進し、建徳侯に封じられました。

黄武元年（222年）、曹休率いる魏の大軍が洞口に侵攻した際には、孫韶は呂範の指揮下で他の呉の将軍たちと共に戦いました。悪天候により一時的に呉軍が劣勢に立たされる中、孫韶は奮戦し、魏軍を撃退するのに貢献しました。黄武4年（225年）には、曹丕が自ら大軍を率いて広陵に侵攻してきましたが、孫韶は敵の退路を遮断し、夜襲をかけるという奇策で曹丕を破りました。この戦いで曹丕の乗馬車や軍の輜重を奪い、曹丕自身を討ち取る寸前まで追い詰めるという大戦果を挙げました。孫権が皇帝に即位すると、鎮北将軍に任じられました。

孫韶は、国境守備の任を十数年にわたり務めました。その間、兵士を鍛え上げ、敵の情報収集に努めたため、ほとんど敗北することはありませんでした。青州・徐州などからの降伏者も多く受け入れ、呉の国力増強に貢献しました。孫権が都を武昌に移すと、しばらく孫韶と会う機会がありませんでしたが、後に建業に都を戻した際、十年ぶりに孫韶と対面しました。孫権は孫韶の知識の豊富さと状況把握能力に感心し、幽州牧に任命し、仮節を与えました。

赤烏4年（241年）に死去。子の孫越が跡を継ぎました。孫韶の一族はその後も繁栄し、多くの子が呉の要職を歴任しました。

人物

孫韶は、身長が8尺（約190センチ）という恵まれた体格で、温雅な風貌を備えていました。冷静沈着な性格で、孫権からの信頼も厚く、その才能を高く評価されていました。

評価

『三国志』の著者である陳寿は、孫韶を「冷静沈着な性格で、非常に洞察力があり、情報収集に精力的な人物。斥候を巧みに使って敵の動静をつかみ、ほとんど敗戦しなかった」と評しています。その軍事的才能と情報収集能力が高く評価されていたことが伺えます。

三国志演義における孫韶

小説『三国志演義』では、正史とは異なり、血気盛んな性格として描かれています。魏との戦いにおいて、総大将である徐盛の作戦に異を唱え、対立する場面が描かれています。しかし、その一方で、魏軍への奇襲を成功させるなど、勇敢な一面も描かれています。

参考文献

* 陳寿『三国志』呉書

孫韶は、呉の国境防衛に大きく貢献した名将であり、その功績は歴史に名を刻んでいます。

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