宇宙の騎士

TOTO 『宇宙の騎士』

『宇宙の騎士』（うちゅうのきし）は、アメリカ合衆国のロックバンド、TOTOが1978年に発表したデビュー・アルバムです。原題はバンド名と同じく『TOTO』となっています。高度な演奏技術を持つ一流のスタジオミュージシャンたちが集まって結成されたTOTOにとって、このアルバムは彼らの才能を世に問う最初の作品となりました。

サウンドの特徴

このアルバムで聴けるTOTOのサウンドは、メンバーが長年スタジオワークで培ってきた経験が存分に活かされています。それぞれの楽器の音が極めて緻密に構築され、全体のバランスも非常にクリアです。この洗練されたサウンドは、当時のアダルト・オリエンテッド・ロック（AOR）を代表するものとして位置づけられ、その後の音楽シーンに大きな影響を与えました。

収録曲

本作には全10曲が収録されており、バラエティ豊かな楽曲群でバンドの音楽性を示しています。特記されていない楽曲の作詞作曲は、バンドの主要メンバーであるデヴィッド・ペイチが手がけています。

• - 「子供の凱歌」 - "Child's Anthem" (2:46)
• - 「愛する君に」 - "I'll Supply the Love" (3:46)
• - 「ジョージー・ポージー」 - "Georgy Porgy" (4:09)
• - 「マヌエラ・ラン」 - "Manuela Run" (3:54)
• - 「ユー・アー・ザ・フラワー」 - "You Are the Flower" (ボビー・キンボール作) (4:11)
• - 「ガール・グッドバイ」 - "Girl Goodbye" (6:13)
• - 「ふりだしの恋」 - "Takin' It Back" (スティーヴ・ポーカロ作) (3:47)
• - 「ロックメイカー」 - "Rockmaker" (3:19)
• - 「ホールド・ザ・ライン」 - "Hold the Line" (3:56)
• - 「アンジェラ」 – "Angela" (4:45)

これらの収録曲の中から、複数の楽曲がシングルとしてカットされ、特に「ホールド・ザ・ライン」はバンドにとって最初の大ヒットとなりました。この曲は全米ビルボード・シングル・チャートで最高5位を記録し、アルバムのセールスを牽引するとともに、TOTOを一躍スターダムに押し上げました。「愛する君に」や「ジョージ・ポージー」、「ロックメイカー」などもシングルリリースされ、アルバムB面からも「ふりだしの恋」、「ユー・アー・ザ・フラワー」、「子供の凱歌」がシングルカットされています。

参加ミュージシャン

TOTOのメンバーは、全員が名立たるスタジオミュージシャンでした。本作に参加したメンバーは以下の通りです。

バンドメンバー

• - ボビー・キンボール: ボーカル
• - スティーヴ・ルカサー: ギター、ボーカル
• - デヴィッド・ハンゲイト: ベースギター、ギター
• - デヴィッド・ペイチ: キーボード、ボーカル
• - スティーヴ・ポーカロ: キーボード、ボーカル
• - ジェフ・ポーカロ: ドラム、パーカッション

ゲストミュージシャン

アルバムには、バンドメンバーに加え、数名のゲストミュージシャンが招かれ、楽曲に彩りを添えています。

• - シェリル・リン: ボーカル（「ジョージー・ポージー」に参加）
• - ロジャー・リン: シンセサイザー
• - レニー・カストロ: パーカッション
• - ジム・ホーン: サックス
• - チャック・フィンドレー: ホーン

彼らの参加により、アルバム全体のサウンドはさらに豊かなものとなっています。

日本での影響

このアルバムは日本でも大きな人気を博しました。収録曲の一つである「愛する君に（I'LL SUPPLY THE LOVE）」は、1979年に西城秀樹が自身のライブアルバム『BIG GAME'79 HIDEKI』の中でカバーしています。これは、TOTOの音楽が日本のアーティストにも影響を与えた一例と言えるでしょう。

『宇宙の騎士』は、TOTOの輝かしいキャリアの始まりを告げるアルバムであり、その完成度の高いサウンドとヒット曲の存在により、今なお多くの音楽ファンに愛され続けている名盤です。

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