宇宙船コスモキャリア

宇宙船コスモキャリア

『宇宙船コスモキャリア』は、1987年11月6日にジャレコがファミリーコンピュータ用ソフトとして発売したシミュレーションゲームです。プレイヤーは宇宙船コスモキャリアの艦長となり、太陽系に突如出現した敵の巨大要塞「バトルスター」を破壊するという重大な任務に挑みます。その鍵となるのは、惑星や衛星のどこかに隠された合計6つの「光子ミサイルのパーツ」です。

ゲームの進行

ゲームは大きく分けて二つのパートで構成されています。

宇宙パート

宇宙船コスモキャリアを操作し、広大な宇宙空間を移動しながら情報を収集します。画面上のカーソルを操作して目標物を捉え、様々なコマンドを実行することでゲームは進行します。他の宇宙船との交信を通じてヒントを得たり、集めた情報をもとに惑星や衛星に搭載しているコマンドスーツを派遣したり、敵機と遭遇した場合は武器で応戦したりします。隣接する惑星エリアへのワープ移動も可能です。ただし、特定の場所へ上陸するには事前の情報収集が不可欠です。また、自機のレベルが一定以上でないと、重要な情報が得られないこともあります。

上陸・探索パート

惑星や衛星へコマンドスーツを上陸させて探索を行うパートです。十字キーでコマンドスーツを移動させ、Aボタンでカーソルを表示して目標物を操作します。宇宙パートと同様に、カーソルで敵を捉えて情報を得たり攻撃したりできます。マップの奥深くに存在する敵基地を破壊すると、ゲームクリアに必要な光子ミサイルのパーツや、自機を強化する様々なアイテムを入手できることがあります。

ゲームオーバーとクリア条件

宇宙でのワープや攻撃、シールドの使用、そして敵からの攻撃を受けるとエネルギー（E）が減少します。エネルギーがゼロになるとゲームオーバーです。また、敵の攻撃により宇宙船やコマンドスーツの各部位が損傷することもあります。地球へ帰還すれば、エネルギーの補給や損傷した部位の修理が可能です。ゲーム内では常に日数が経過しており、100日を経過して残り日数がゼロになった場合も任務失敗となりゲームオーバーとなります。ゲームの進行状況はパスワードで記録でき、地球帰還時に「キュウケイ」を選ぶと表示されます。

最終目的である6つの光子ミサイルパーツを全て集め、バトルスターへ発進してミサイルを撃ち込むことでゲームクリア、エンディングとなります。なお、クリア時の残りエネルギーが2000未満の場合、通常とは異なるエンディングを見ることができるようです。

主なコマンド

MISSILE: ミサイルによる攻撃を行います。威力は調整可能で、ミサイルレベルによって最大値が上がります。攻撃装置の損傷で使用不可。
BEAM: ビームによる攻撃を行います。威力は自機のレベルに依存します。攻撃装置の損傷で使用不可。
SHIELD: エネルギーを消費してシールドを展開し、敵の攻撃を防ぎます。シールドが損傷で使用不可。
MOVE: ワープによる惑星間の移動、上陸地点へのコマンドスーツ派遣、地球への帰還、バトルスターへの発進を行います。特定のアイテムがあれば地球へ一気に戻る「アースウイング」も使用可能です。上陸・探索パートでは、コマンドスーツをコスモキャリアへ戻す「帰艦」に使用します。
COMMUNICATE: カーソルで捉えた対象（味方機、敵機など）と交信し、情報を得ます。通信システムが損傷で使用不可。
COMPUTER: 捕捉した対象（惑星、衛星、宇宙船、メカ）の詳細情報を確認したり、自機の修理を行ったりします。アイテムがあればエネルギー不要で修理できる「リペアー」も使用可能。
PARTS: 光子ミサイルのパーツ収集状況を確認します。
STATE: 自機のステータスや損傷状況を確認します。

アイテム

ゲーム中に登場する様々なアイテムは、探索パートの敵基地破壊や特定の敵を倒すことで入手できます。これらはゲーム進行や自機の強化に役立ちます。

光子ミサイルの6つのパーツ: ゲームクリアの必須アイテム。
レベルアップパーツ: 自機のレベルと最大エネルギー容量が増加します（最大レベル8、最大エネルギー4000）。
ミサイルアップ: ミサイルの最大威力が上がります（最大40P）。
全方位通信: ゲーム攻略のヒントとなる情報が得られます。
アースウィング: 地球エリアまで一気にワープできます。使用するとなくなります。
リペアーパーツ: エネルギーを消費せずに全ての損傷部位を修理できます。使用するとなくなります。
エネルギーアップ: エネルギーが回復します。

ストーリーと世界観

西暦1999年、月が軌道を離れて地球に異常接近するという未曾有の事態が発生します。時を同じくして太陽系に謎の宇宙船団が現れ、冥王星外縁に機械生命体による惑星「バトルスター」が出現。月の異常接近がバトルスターの仕業であると判明し、約3ヶ月後に月が地球に激突、人類滅亡の危機が迫ります。しかし、敵宇宙船団が強大な超兵器「光子ミサイル」を開発しているという情報がもたらされます。このミサイルをバトルスターに撃ち込めば破壊可能と判断した地球防衛軍は、完成したばかりの新型宇宙船コスモキャリアに、100日以内に光子ミサイルを発見しバトルスターを破壊するという任務を与え、緊急発進させるのでした。ゲームの舞台は月、火星、木星の衛星イオ、土星の衛星タイタン、天王星の衛星ミランダ、海王星の衛星トリトン、冥王星、そしてバトルスターへと広がります。

登場メカニック

コスモキャリア: プレイヤーが操作する大型宇宙船。3機のコマンドスーツを搭載しています。
* コマンドスーツ: 人間が乗り込んで操作する、全高18mの人型ロボット。強化服から発展したため「スーツ」と呼ばれます。高重力や超低温など、特定の環境に対応したスーツでないと活動できません。コスモキャリアには、高重力対応の「グラビティ」、寒冷地対応の「ブリザード」、高機動偵察型の「フィールド」の3機が搭載されています。

評価

当時のゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューでは40点満点中21点でした。『ファミリーコンピュータMagazine』のレビューでは、「コマンド」の理解に多少の慣れが必要である点が指摘されています。

全体として、当時のファミコンとしては珍しい本格的な宇宙シミュレーションゲームであり、資源管理や探索、戦闘といった要素を組み合わせた意欲作と言えるでしょう。

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