宇江佐真理

宇江佐真理について

宇江佐真理（うえざ まり、1949年10月20日 - 2015年11月7日）は、日本の時代小説の作家であり、本名は伊藤香（いとう かおる）です。彼女は北海道函館市で生まれ、北海道函館中部高等学校に在学中から創作活動を開始しました。卒業後は函館大谷女子短期大学を卒業し、その後OLとして働きましたが、家庭に入ったことで執筆に専念することとなります。

作家としての活動

宇江佐は1995年に『幻の声』でオール讀物新人賞を受賞し、作家デビューを果たします。この作品は、主人公伊三次を中心にしたシリーズとして展開されることになります。連作短編集『幻の声 髪結い伊三次捕物余話』は第117回直木三十五賞候補にも選ばれ、その名と作品が広く知られることとなります。興味深いことに、彼女のペンネームはエッセイ『ウエザ・リポート』に由来し、本名を隠すための形式で選ばれたものでした。

1999年には、シリーズ『髪結い伊三次捕物余話』が中村橋之助主演でテレビドラマ化され、多くの視聴者に親しまれました。2010年には『雷桜』が映画化され、岡田将生と蒼井優が主演を務めました。こうした映像化作品は、彼女の作品の魅力を多くの人に伝える重要な役割を果たしました。

健康と闘病

2014年の文春文庫版『心に吹く風』のあとがきで、宇江佐は乳がんであること、および全身に転移していることを明らかにしました。この告白は大きな反響を呼び、翌年1月には『文藝春秋』誌に闘病記「私の乳癌リポート」を掲載しました。このリポートは後に文春文庫版『見上げた空の色』に収められました。残念ながら、彼女は2015年11月7日に函館市の病院で亡くなりました。享年66歳でした。

遺作とその後

宇江佐の遺作は、2016年に朝日新聞夕刊で連載された『うめ婆行状記』です。故人の意向により、2016年3月15日の掲載分をもって未完とされました。彼女の書き残した数々の作品は、今なお多くの読者に愛され、評価されています。

受賞歴と著作

宇江佐は数多くの賞にノミネートされ、いくつかの賞を受賞しています。特に『国直・別れ雲』での新人賞候補や、1999年の『深川恋物語』での吉川英治文学新人賞受賞が有名です。彼女の作品には、時代小説の様々な魅力を凝縮した短編集や連作が含まれ、時代の雰囲気をリアルに描写することで知られています。

著作としては、なかでも「髪結い伊三次捕物余話シリーズ」や「泣きの銀次シリーズ」が有名で、これらのシリーズを通じて、日本の歴史や文化、人物描写を豊かに表現してきました。また、エッセイも執筆し、様々な側面から彼女の個性を示しています。宇江佐真理の作品は、今後も多くの読者に影響を与え続けることでしょう。

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